■ 開店

昔、「阪急ブレーブス」の本拠地であった西宮球場が、 西日本最大の規模を誇るショッピング・タウン 「西宮ガーデンズ」に生まれ変わる。 核となる商業施設は阪急百貨店。 グランド・オープンは今月の二十六日。 今日はVIPのための内覧会。 阪急百貨店の…

■ 順調

横幅二メートル、奥行き二メートルの台の上に、 約二十体のからくり人形が乗る。 今、その制作を急いでいるのだが、 いったいどこまで作業が進んでいるのか、 黒板の上に一覧表を書いて整理してみた。 思っていたより作業は順調であるような気がするが、 い…

■ 初雪

ストーブが利かない。 設定温度を上げても室内の温度が上がる気配がない。 工房の窓から外を見てみると、 庭の立ち木の葉っぱに薄っすらと雪が積もっていた。 初雪・・・。 岡山県の最高峰「後山 / うしろやま」の中腹、 標高約六百五十メートルの山の中に、…

■ BOXBEUTEL / ボックスボイテル

昨晩から岡山の自宅に戻っている。 今朝、岡山の職場に出勤してみると、 I君が何やらからくり人形らしきものを作っていた。 「それはどう動くの?」と訊くと、 「ハンドルを回すと山羊の頭と脚が動く」 「更にハンドルを回すと、山羊が『メェ〜』と鳴く」、 とい…

■ 三たび・フジタニ画伯

あの有名な「フジタニ・ニテハル画伯」が、 「飯室康一」さんを伴って有馬温泉にいらっしゃる。 「飯室」さんは日本の伝統的な糸操りの人形師。 「旅の途中で財布を失くしてしまった」 「パリに帰るための旅費を稼ぎたい」、 確か、前回と前々回はそのような…

■ MUSTANG 1966

今日は岡山の職場における「からくり塾」の最終日。 そろそろ終わろうかという頃になり、 欠席の多かった「なやむ号」さんがいらっしゃる。 その「なやむ号」さんからプレゼントを頂戴する。 真っ赤な「マスタング」のオートマタ。 ハンドルを回すと、 「マ…

■ パーティ

東京から加藤エイミーさん。 沖縄からベティ・ホフマンさんご夫妻がいらっしゃる。 お三方はスイフトさんご夫妻の古くからのご友人。 エイミーさんは日本に帰化されたアメリカ人だが、 日本の文化に造詣が深くていらっしゃる。 以前、スイフトさんから 「Ota…

■ SILENI

イタリアから スイフトさんご夫妻がいらっしゃっている。 ご夫妻と会話の中で、 「どこのワインが美味いか!?」という話になる。 彼らの一押しは「SIRENI / シレーニ」。 ニュージーランド産の白ワインであるらしい。 その「シレーニ」の中でも、 「ソーヴ…

■ ピノキオ

「鼻を長く伸ばすだけでピノキオに見えるで」、 と高を括っていたのだが、 困ったことに、 そのピノキオのデザインがなかなか仕上がらない。 「鼻が高いこと」 「全身が木で出来ていること」 「手足の関節のピンが見えること」 「ディズニーのピノキオには似…

■ 日帰り

今朝は六時半に起床。 最寄の駅前の駐車場に車を預け、 九時二分発の「のぞみ74号」で東京に向かう。 スケッチ・ブックをひろげ、 からくりの構造を考えているうち、 ぐっすりと寝入ってしまった。 気がつけば、列車は品川駅に滑り込もうとしていた。 十二…

■ 浦島太郎

「浦島太郎」と亀のデザインを仕上げる。 からくり人形であるから、 どの部品をどう動かすか、を考慮しながら、 デザインも考えなくてはならない。 横幅二メートルの舞台の上を、 「浦島太郎」を乗せた大きな亀が行ったり来たりする。 その構造はH君が考案…

■ 恵比寿と大黒

H百貨店における大型からくりの制作を急いでいる。 幅二メートル、奥行き二メートルのからくりだが、 その最上段には、 恵比寿と大黒のからくりが乗ることになっている。 鯛に乗って釣り糸を垂れる恵比寿と、 同じく、鯛に乗って長靴を釣っている大黒のから…

■ クリスマス・ピラミッド

明日から尼崎の「つかしん」においてクリスマス市が始まる。 その市への出店の準備のため、 車の後部座席に高さ二メートルを超すクルミ割り人形を載せ、 職員のFとともに尼崎の「つかしん」に向かう。 「つかしん」の中央口を入ってすぐのところ、 高さ二十…

■ 講義・その4

今日はK芸工大における講義の日。 学生たちには課題を出しておいたが、 今日はその課題の提出日にあたる。 聞くところによると、 私は学内でもっとも多く課題を出す講師であるらしい。 昔、私は様々な理由で大学に進学することができなかった。 随分以前の…

■ 東京

机の上の整理もそこそこに、 午後二時、新神戸駅に向かう。 今日は三連休の最終日。 コンコースは観光客でごった返していた。 チケット売り場は長蛇の列。 旅慣れない人が多いのだろう、 列は少しも前に進まない。 自動券売機でチケットを買うことにしたが、…

■ ガリバー&人魚姫

からくり人形の制作を急いでいる。 H百貨店への納品は今月の二十四日。 あと三週間ほどしか残されていない。 その動く仕組みはT君とH君に任せているから、 まったく心配はないのだが、 肝心の人形のデザインがなかなか出来上がらないでいた。 人形のデザ…

■ 風邪と煙草と風邪薬

頭がフラフラしている。 洟も止まらない。 午後一時、職員たちに「今日は早退けする」と告げ、 アパートに帰ることにした。 小学校、中学校、高校を皆勤で通した私にとって、 早退けなどは病気への屈服以外のなにものでもないのだが、 今月中に仕上げなけれ…

■ 風邪

よほどひどい顔をしていたのだろう、 「これ、かぜにいいで〜す」、 「しょ〜がと〜、たくさんしゅるいあります」 「バット、しかし、これいちばんです」、 とリンさんが 「うどんや風一夜薬本舗」の生姜湯を持ってきてくれる。 どこでそんな知識を手に入れ…

■ てんやわんや

「今日は朝から私のお家はてんやわんやの大騒ぎ」 「盆と正月一緒に来たよなてんてこまいの忙しさ」 「何がなんだかさっぱりわからず」 「どれがどれやらさっぱりわからず」 「何も聞かずに飛んでは来たけど」 「何を買うやらどこで買うやら」 「それがごっ…

■ 講義・その3

今日はK芸工大における講義の四日目。 学生たちには、 垂直方向の回転を水平方向の回転に変換する、 いわゆる「ピン面歯車」の制作を課題として出していた。 大きな円盤には六十本の軸を、 小さな円盤には十本の軸を植えつけるという作業。 三百六十度の円…

■ 送別会

Sさんが退社することになった。 今日はその送別会。 午後七時、湯郷温泉の「珍竹林」に関係者があつまる。 Sさんは七年の長きに亘って勤務してくれた。 彼女がいないと職場も困ったことになるのだが、 辞意も固いようであるから、 これ以上引き止めるワケ…

■ 新薬師寺

十二神将をモチーフにした時計を作る計画が持ち上がる。 薬師如来を護るとされる十二神将だが、 今までその実物など見たこともない・・・。 「十二神将といえば新薬師寺やね」、 ということになり、Yさんと奈良に向かう。 春日大社や猿沢池の辺りは観光客で…

■ Grappa & Cantucci

イタリアからスイフト夫妻がやって来る。 彼らとの付き合いは何年になるだろうか・・・。 もとも彼らはイギリス人なのだが、 つい最近、 イタリアのトスカーナ地方に引っ越してしまった。 山の斜面に建てられた住まいの写真を見ると、 彼らの家のすぐ上に、 …

■ 東京

新神戸駅十時二十分発の「のぞみ」で東京に向かう。 新神戸駅でチケットを購入した後、 いつもの駅弁「ひっぱり蛸飯」をどこで買おうかと迷う。 「ホームの売店では売り切れていることがある」 「時間のある内にコンコースの売店で買ってしまおう」 「蛸飯に…

■ あの胸にもういちど

四十年前の映画「あの胸にもういちど」を観る。 何度観てもいいねぇ、 「Marianne Faithful/マリアンヌ・フェイスフル」は。 フランスに住むレベッカ(フェイスフル)は、 ハーレー・ダビッドソンにまたがり、 恋人の住むドイツのハイデルベルクに向かう。 …

■ 月の雫か人魚の涙か

かねてより依頼のあった 「真珠」をモチーフとしたからくりのイメージ画が出来上がる。 一ヶ月前に簡単なイラストを提出していたのだが、 どうやら、発注もとの事務局では議論百出であったらしい。 神戸市と淡路島を結ぶ「明石海峡大橋」は 「パール・ブリッ…

■ 乙姫

ピノキオが筏に乗って海を漂流していたり、 鯨の口の中でゼペット爺さんが魚釣りをしていたり、 鯛の背中で恵比寿が長靴を釣り上げていたり、 亀の背中に浦島太郎が乗っていたり、 玉手箱を開けると浦島太郎が爺さんになったり、 乙姫が浦島に手を振っていた…

■ 整理・その52 / ABC3D

注文しておいた飛び出す絵本「ABC3D」が届く。 「ABC3D」の「3D」は「three dimension」、 つまり、「三次元」「立体」という意味。 「a=ape」「b=bar」「c=cat」「d=dog」というような、 いわゆる「アルファベット・ブック」の体裁を整えた…

■ 猫と息子

今から四年ほど前のこと、 富山の国道で瀕死の重傷を負っていた子猫を、 息子は助けて家に連れ帰ったことがあった。 昨夜、十一時頃、 その猫がいなくなった、という連絡が入る。 猫の名前は「あんこ」。 アパートの部屋の中で飼っていたのだが、 ガラス戸の…

■ 取材

NHKの番組「美の壺」の取材を受ける。 テーマは「オルゴール」。 先日の日記にもそのことは書いたが、 オルゴールと時計とからくり人形には密接な関係がある。 番組で紹介されるのは、 東京の目白にある「オルゴールの小さな博物館」と、 神戸の六甲山に…