■ 整理・その51 / オシェ

この十九日頃から、 イタリアに住むスイフト夫妻が来日する。 私のアトリエの近くに四ヶ月ほど住む予定だが、 彼らが住むための家の大掃除をスタッフたちがしてくれた。 以前、スタッフたちの寮として使っていた家だが、 どこから手をつけていいのか、 と困…

■ 米

徳島のSさんから新米を頂戴する。 Sさんの奥様のご実家で収穫されたばかりの米。 Sさんからは先日も山ほどの酢橘を頂いたばかり。 わざわざこのことのためにだけ、 徳島から出かけてきてくださった、という。 Sさんとはもう二十年来のお付き合いになるが…

■ タイミング

近頃とんと物覚えが悪くなってしまった。 親しい間柄にでもならない限り、 名前はおろか、 その人の顔すら忘れてしまっていることがある。 アトリエのガラス扉の向こう側から、 若い女性が私に向かって会釈を寄こす。 「はて、誰やったかなぁ・・・?」、と…

■ 倉敷

オルゴールと時計、 そして、からくり人形は密接な関係にある。 オルゴールと時計とからくり人形。 その三つを総称して「CLOCK WORK」、 つまり「時計仕掛け」と呼ぶ。 今月の十三日、 NHKのテレビ番組「美の壺」の取材を受けることになる。 オルゴールを…

■ ナックル

右手を支えに寝床から起き上がろうとした時、 右肘の内側に激痛が走る。 上体を支えきれずに布団の上に倒れこんでしまった。 昨日はK芸工大に出かけていたのだが、 休み時間に、Kちゃんとキャッチボールをしたことを思い出す。 高校時代、Kちゃんはソフト…

■ 講義・その2

K芸工大における講義二日目。 今日は簡単な動くおもちゃを作ることになっている。 両足をせわしなく動かしながら綱を渡っていく、 いわゆる綱渡り人形の制作。 人形の腰から膝の関節までの距離と、 膝から足首の関節までの距離を定め、 人形のデザインは各…

■ コイン・ローファー

靴を履こうとして、 ソールがパックリと剥がれていることに気付く。 これではとても歩けそうにない。 二年前の冬のこと、寒さに耐えかね、 長岡駅前の靴屋で中敷きを求めたことがあった。 フエルトで作られた暖かな中敷き。 代金を払おうとしたら、 「余り物…

■ 神戸〜新潟

神戸から金沢を経由して新潟に出かける。 この仕事に関わるようになってから、 昨月で丸四年という歳月が過ぎてしまった・・・。 四年も経てば、取り巻く環境も大きく変化してしまう。 なのに、この新潟の仕事は少しも前進しない。 これは先月の日記にも書い…

■ 整理・その50 / カエルの王女

オークション・サイトで見つけた ロシアの民話「カエルの王女」の飛び出す絵本。 表紙のタイトルも、中に書かれた文章も、 すべてはロシア語表記であるから、 いったい何が書いてあるのかさっぱり解らない。 しかし、物語のおおよそは記憶しているから、 絵…

■ 整理・その49 / ONCE UPON A TIME

「ヴォイチェフ・クバシュタ」の画集 「ONCE UPON A TIME」がアメリカの古書店から届く。 チェコスロバキアのプラハで印刷され、 ロンドンの「GOLDEN PLEASURE BOOKS」社が 一九六六年に出版したもの。 白雪姫、ロシア民話のカエルの王女、長靴を履いた猫、 …

■ 講義

午後からK芸工大に出かける。 今日から週に一度、 おもちゃの概念やデザイン、 からくり人形の制作手法を教えることになっている。 私の講座は「現代クラフトB」と呼ばれているらしい。 二年生は陶芸か木工芸を選択することになっていて、 前期の終り頃ま…

■ 誕生日

今日は三男のSの誕生日。 携帯から電話を入れたが、 何度かけても一向に繋がらない・・・。 ひょっとしたら、 また海外に出かけているのかもしれない。 画像は彼が六歳の時に作ったオブジェ。 私は現代的なからくり人形の制作を生業にしているが、 その制作…

■ 構図

今から四十数年前、 私がデザインの勉強をし始めた頃のこと。 その頃には、写植という技術もなければ、 ましてや、コンピューターなどという便利な機械もなかった。 ポスターを仕上げる時には、 文字は烏口や面相筆を使って一文字ずつ手で描くしかなかった。…

■ 休日

あと二ヶ月ちょっとで六十二歳になる。 思えば、私は十八歳の時から働きづめに働いてきた。 とうとう身体に軋みの音が聞こえるようになってきた。 とは言え、 まだまだ若い者に負けるつもりなど毛頭ないが、 「まだまだ」などという言葉が出れば出るほど 歳…

■ 整理・その48 / GABBY HAYES

「GABBY HAYES / ギャビー・ヘイズ」をモチーフにした しかけ絵本を入手する。 「ギャビー・ヘイズ」は、 あの「ジョン・ウエィン」などと共演していた映画俳優。 もっぱら西部劇にばかり出演していた俳優だが、 彼が主演の映画は一本も作られなかったはず。…

■ 整理・その47 / Yellow Square

「One Red Dot / あかまるちゃん」 「Blue 2 / あお2ちゃん」 「600 Black Spots / くろまるちゃん」に続く 「David A. Carter」の四作目「Yellow Square」。 前三作は「丸」がモチーフとして使われていたが、 新作の「Yellow Square」では、 「四角」がモ…

■ ERZ / エルツ

「ERZ / エルツ」のおもちゃ展の準備を進めている。 「SEIFFEN / ザイフェン」の玩具博物館から 重要文化財級のおもちゃを幾つかお借りすることになっている。 しかし、ドイツ語はややこしいなぁ・・・。 「kettenleuchter」という言葉を例にあげると、 「ke…

■ 整理・その46 / A BOOK of DAY-TIME

飛び出す絵本「A BOOK of DAY-TIME」が届く。 ページを開くと、 四種類の「日時計」が立ち上がってきて、 裏表紙には小さなコンパスが貼り付けられている。 このコンパスで南北の位置を調整し、 真北に向かって本を開くと、 真ん中から柱が立ち上がってきて…

■ AAA・その2

現代的なからくり人形の制作工房 「 Arima Automata Association 」を立ち上げたのは、 この七月二十四日のことだった。 立ち上げを記念して、 有馬温泉のギャラリーで展覧会を開いたのだが、 時期が悪かったのか、場所が悪かったのか、 それとも、我々の力…

■ 真珠

かねてからご相談のあった、 「真珠をモチーフにしたからくり人形」の制作について、 Sさんがアトリエにいらっしゃる。 「真珠」といえば、 誰もがまず思いつくのは「豚に真珠」ではないだろうか。 「鏡よ鏡、鏡さん。この世で一番美しいのはだ〜れ?」、 …

■ からくり塾・その4

今日は月に一度の「からくり塾」の開催日。 三年前から始めた「からくり塾」だが、 皆さん相当に腕を上げてきていらっしゃるから、 細々とした指示はほとんど必要としない。 講師としてはこんなに楽なことはないね。 皆さんには「制作の骨の骨」をお教えしま…

■ 休日

今日は久しぶりの休日。 今日は何もしない、と決めていたが、 明日は岡山の職場に出勤しなければならない。 で、まずは岡山に向かって車を走らせることにした。 アパートを午前八時に出発し、 一般道をゆったりとしたスピードで西に向かう。 今日中に岡山の…

■ 飯

九州からM君がやって来る。 からくり人形のことを研究しているらしいのだが、 大学にはその資料も乏しく、 また教えてくれる教授もいないらしい。 私にその辺りのことを教えて欲しい、という依頼であったが、 彼が持ってきた作品集を見て驚いた。 彼の作る…

■ 黒のスーツ

先日、M君の結婚披露宴が盛大に執り行われた。 その宴の最中、 弟のTから緊急の連絡が入る。 Tの嫁さんのお母さんが亡くなった、という連絡。 階段から転げ落ちたことが原因であったらしく、 意識が一度も戻らないままで旅立たれた、という。 今日もH君…

■ 映画館

Aさんの日記に 「ポップコーンは映画館の匂い」、と書かれていた。 Aさんはアメリカに住んでいらしゃったことのある方だが、 その日記を読んでいて、昔のことを思い出してしまった。 昨日の夕食の献立は忘れているのに、 昔のことは妙に鮮明に憶えている。…

■ 天の川

昨日は午後十時に神戸の職場を出発。 午前〇時に自宅に帰り着く。 玄関の扉を開けようとして、 夜空のあまりの美しさにしばし見とれてしまった。 この田舎に住んで二十年が過ぎようとしているが、 これほどに美しい星空を眺めるのは本当に久しぶりのこと。 …

■ 整理・その45 / Peter Rabbit

アメリカの古書店から、 バルチモアの「Ottenheimer Publishers」が 一九九四年に出版した仕掛け絵本、 「Peter Rabbit / ピーター・ラビット」の四冊セットが届く。 「The Tale of Peter Rabbit」 「The Tale of Benjamin Bunny」 「The Tale of Tom Kitten…

■ ダブルプレー

「ロバート・B・パーカー」の「ダブルプレー」を読み終える。 小説に登場するのは、 黒人初の大リーガーである「ジャッキー・ロビンソン」と、 彼のボディ・ガードである、白人の「ジョゼフ・バーク」の二人。 「ロビンソン」は「ドジャース」に在籍した実…

■ 整理・その44 / SANTA VISITS MOTHER GOOSE

ニューヨークの 「WHITE PLAINS GREETING CARD CORP.」社が 一九五十三年に出版した「飛び出す絵本」、 「SANTA VISITS MOTHER GOOSE」。 ある日、サンタクロースにマザー・グースからの手紙が届く。 「サンタのいないクリスマスなんて考えられない」 「マザ…

■ 出張

東京から帰る。 いろいろとプレッシャーはかけられたものの、 P社の方々との会食は実に楽しかったし、 O氏との対話もなかなかに実りが多かった。 今日は銀座の「月光荘」に出かける。 ヨーロッパにおける個展は何度かこなしているものの、 国内における個…