■ BEN LINE/ベン・ライン

aquio2004-08-24

机の引き出しから
「BEN LINE/ベン・ライン」のマッチが出てきた。
「再び女たちよ!」の中で、
故・伊丹十三が「世界一」のマッチと絶賛していた。
伊丹がいう世界で一番のマッチの条件とは、
①擦った時に臭いがしないこと。
②マッチが燃え尽きた後に頭が落ちないこと。
このエッセーが書かれた時代、
市販のマッチは擦るといやな臭いがした。
燃え尽きた後、マッチの頭は必ず落ちた・・・。
「BEN LINE/ベン・ライン」は
スコットランドと極東の間に航路を持つ船会社であった。
しかし、その航路は今はもうなくなってしまっているはず。
私がまだ坊主頭の中学生であった頃、
「このマッチのデザインはかっこいいなぁ」と、
船舶会社に勤めていた叔母の家から失敬してきた。
かなりの量のマッチを持ち帰ってきたはずなのに、
その残りもわずか4個になってしまっている。
大事に使わねば。
せめて箱だけでも残しておかなければ、
叔母の記憶も薄れていってしまいそうに思える・・・。
それはさておき、
昔、「伊丹十三」は「伊丹一三」と名乗っていなかったか。
「一(マイナス)よりも十(プラス)の方がいい」、
そんな理由で改名した、と記憶している。
その後、彼の人生はプラスの方向に針が振れたのだろうか。
私がまだ若造であった頃、
私はよくこのマッチを持ち歩いていた。
粋がってマッチを擦り、煙草に火を点けていた・・・。
粋がるほど無粋なことはない。
思い出す度、顔から火が出るほどに恥ずかしい。