■ YANAGASE

aquio2004-09-05

画家志望のKとヤナガセに出かける。
彼女の描く絵は、
ビネッテ・シュレーダーほどのシュールさはないが、
「夢」と「現」、
その間を自由に行き来する若い女性の心情がよく現れている。
なかなかのセンスの持ち主。
ヤナガセは神戸に数あるバーの中でも老舗中の老舗。
蔦のからまる古い木造の建物の二階にある。
店内には静かにジャズが流れる。
会話が途切れた時、
コルトレーンが聴こえるともなく聴こえてくる。
若かった時代、このバーを訪れることが二度ほどあった。
「ここはお前のような若造が来るバーではない」。
「もっと修行を積んでから出直して来い」と、
無言で拒絶されているような重圧を感じたものだった。
「客に媚びない」。
そんなバーは少なくなってしまった。
「このお客様にはまた足を運んでいただきたい」。
経営する側にそう思わせる客こそ、
「いいお客様」ではないかと思う。
いい客になるのは難しい。