■ さんま
さんまが急に食べたくなり、
車を駆って夜の国道176号線を走る。
誘蛾灯に引き寄せられる虫のように、
辺りでもひときわ明るい照明の一膳飯屋に入る。
五人の元気のいい年輩の女性達が働いていた。
店内はとても清潔に保たれている。
まずは目当てのさんまを注文。
「みんな大好き熱つ熱つ卵焼き157円」もついでに注文。
オバサンが手際よく目の前で卵焼きを作ってくれる。
「おいしいおいしい具だくさんの味噌汁105円」と、
「ホロリと辛い青首大根おろし84円」も頼む。
たいして上等の米を使っているとは思えないが、
昔ながらの大きな「お釜」で炊きあげられているからか、
ご飯もホクホクと美味しい・・・・。
「あはれ 秋風よ 情あらば 伝へてよ
男ありて 今日の夕げに ひとりさんまを食ひて
思ひにふける と」
佐藤春夫の詩を想い出す。
「さんま さんま 苦いか しょっぱいか」。
昨夜は思ひにふけることもなく、
程よく塩の利いたさんまは、とても美味しかった。