■ 荒廃

aquio2004-11-21

岡山県のH村に向かう。
山肌の其所此所に、
台風二十三号による爪痕が残されていた。
植林された杉や桧が根こそぎ倒されていた。
H村の住民のうち、
実に四十五パーセントが六十五歳以上の老人。
村には若者がいない。
過疎化が進み、
山村が滅びようとしている現在において、
この台風による被害は修復が不可能であるように思える。
財政難に喘ぐ過疎地のこと、
これらの風倒木は、
そのまま捨て置かれることになるのだろう。
倒れた木々の根はすぐに腐る。
大雨でも降った日には、
大規模な土砂崩れが起きるに違いない・・・。
ただ、
台風の被害を受けたのは植林された林に限られている。
様々な樹木が混在する自然林に被害は及んでいない。
第二次世界大戦の直後、
国は山村に対して植林を奨励した。
農家はわずかばかりの奨励金を受けんがため、
先祖伝来の山々の木々を切り倒した。
樹齢数百年という木々を惜し気も無く切ってしまったのだ。
植林された杉や桧は、
育てば高値で売買されるという読みがあったが、
安価な外材が輸入されるに及んで、
その目論みも空振りに終わってしまった。
その後、植林された林は、
下刈りも間伐もされないまま捨て置かれることになる。
長期的な展望も無いまま植林を奨励した国。
目先のわずかばかりの金儲けに眼がくらんだ農家。
山村は、
その酬いを数十年後の現在に受けようとしている・・・・。