■ 正気と狂気

aquio2005-01-14

久しぶりにビデオ屋に出かける。
若い時代に観た映画、
カッコーの巣の上で」が売られていた。
嬉しくなって、ついつい購入する。
「カッコー/ CUCKOO 」は
鳥のカッコウを意味するとともに、
「気が狂った」とか、
「正気ではない」を意味する俗語でもある。
「カッコーの巣」とは
「精神病院」のことを指しているのだろう。
ジャック・ニコルソン」が演じる
主人公・マクマーフィは、
刑務所における強制労働から逃れるために
狂気を装い、精神病院に連行される。
マクマーフィは、
病院で絶対的な権力をふるう婦長と対立するが、
最後に近いシーンでは、
脳の前頭葉の一部を切断する手術、
いわゆる「ロボトミー」の手術を施され、
廃人になってしまう・・・。
ロボトミーは、
こめかみの辺りに穴を開け、
刃物を差し込んで前頭葉の一部を切りとってしまうという、
とても荒っぽい手術・・・。
重度の鬱病や、
精神分裂症の患者には劇的な効果があるとされ、
一時、世界中で流行したが、
今から二十五年ほど前、
ロボトミー手術を施され、
社会生活を営めなくなってしまった男が、
精神科医の妻と母を殺害するという事件が起きた。
この精神科医は、
男をモルモットとして
ロボトミー手術を施したのではないかと思われる。
男は廃人同様にされた恨みを晴らしたのだ・・・。
兇行に及んだ時、
男は正気ではなかったのだろうが、
執刀した精神科医は正気の人間であったのだろうか。
正気の人間の中に潜む狂気。
正気の人間が犯す、
とても正気の沙汰とは思えない狂気の沙汰。
人間の自由とは何か、
人間の尊厳とは何かを厳しく問うた映画。
見応えのある映画だった。