■ 山里の釣りから

aquio2005-02-04

「内山節(うちやま・たかし)」著、
「山里の釣りから」を読みなおす。
読みなおすのは実に二十数年ぶり。
本は、山村と都会の、
その関わりについての示唆に溢れている。
私のお気に入りの中の一冊。
「水」の供給源は「山」にある。
山々に降った雨水は地中に貯えられ、
それが徐々に滲みでて川となり、
水道水に加工されて都会に供給される。
その雨水を蓄えているのは、
山々に生えている木々であり、
その山々を営々と護ってきたのは、
山村に住む人々であった。
日本が高度経済成長を目指した頃、
その頃から山村の荒廃は始まった・・・。
山村荒廃の一番の原因は、
働き手の流出であったように思える。
中学を卒業したばかりの田舎の子どもたちを
「金の卵」ともて囃し、
都会の企業は集団における就職を促した。
その賃金は呆れるほど低かった。
水だけではなく、
山村は安い労働力の供給源でもあった。
そうして、都会は肥大してきたのだ。
山の保全は水の保全につながる。
山の保全には、
都会の人間の想像を絶する労働力が必要とされる。
水は天からの恵み。
もともとは無料の水だが、
山の保全には莫大なコストがかかる。
しかし、
山村は常に搾取の対象でしかなく、
都会はそのコストを山村に支払ってはこなかった。
山の崩壊は水の崩壊につながる。