■  暖炉

aquio2005-02-06

車を庭に止め、
膝まで積もった雪をかき分けながら
玄関に辿り着く。
もう、それだけで息が切れる。
気温は氷点下二度。
玄関には屋根から滑り落ちた雪が
山のように積もっていた。
車からスコップを取り出し、
雪かきに取りかかる。
雪かき歴三十年。
手慣れた作業だが、
なかなかいい仕事をするなぁ・・・と、
自分で自分を誉めてやる。
身体から湯気が立つほどの汗をかく。
一週間ぶりに帰った我が家は、
まるで氷室のように冷えきっていた。
暖炉に薪を焼べる。
パチパチと薪が爆ぜる音を聞きながら、
汗で濡れた下着を替え、
濃いコーヒーを沸かす。
マグカップのコーヒーに、
少量の砂糖と、
適量のアイリッシュウイスキーを入れてかき混ぜる。
即席のアイリッシュ・コーヒーの出来上がり。
暖炉の前に座る。
身体が内と外から暖まってくる。
我が家は山の中の一軒家。
八百メートルほど離れたところに、
隣の家がある・・・・。
シューシューと、
薪に含まれた水分が蒸発する音だけが聴こえてくる。
これだから、
山里の暮らしは止められない。