■ 同窓会
若い頃、
ある商店でアルバイトをしていたことがある。
十九歳から二十一歳までの間。
この商店のS社長には
物心両面の支援を受けた。
失敗してはよく怒鳴られたものだった。
昨夜、
その商店でアルバイトをしていた連中の同窓会があった。
会場は、
商店一の暴れん坊であったAが経営するお好焼き屋。
歳とともに毒気が抜けたのだろう、
Aはすっかりいい親父になっていた。
九名ほどの仲間が集まる。
焼き鳥屋の親父に収まっているO。
梅田のファッション・ビルで洋品店を経営しているU。
なかなか儲けているらしい。
親父の後を継いで鉄工所を経営しているU。
嫁さんに三行半を突き付けられて意気消沈しているY。
こいつは若い頃から女運の悪い奴だった。
「あんな男と別れてサバサバしたわ」と、
今も威勢のいい姉御肌のK。
皆、それぞれの人生を懸命に生きていた。
そして、
M社長は、八十歳になられていた・・・。
あれだけ怒られたのに、
社長を慕って今もこれだけの連中が集まる。
人を感化する人格の力・・・。
人徳のある人とは、
このような人のことをいうのだろう。
楽しい夜だった。