■ THE GENIUS OF LOTHAR MEGGENDORFER

aquio2005-05-17

Kさんから頂いたメールがきっかけで、
書架に積んであったポップ・アップ・ブックの
整理と修理を、順次始めることにした。
イギリスの
「INTERVISUAL COMMUNICATIONS 社」から
一九八五年に出版された
「THE GENIUS OF LOTHAR MEGGENDORFER」
この本は
メッゲンドルファー没後六十年を記念して出版された。
「真夜中の台所」や「怪獣たちのいるところ」を著わした、
あの「モーリス・センダック」が監修したポップ・アップ・ブック。
ケースの角が少し破れている。
補修しなくては。
「約二十年ほど前、
 私は初めてメッゲンドルファーの本に出会った。
 そして、すぐに私はその複雑で独創的な彼の仕事の虜になってしまった」と、
センダックはその序文の中で述べている。
八世紀の中頃、
キルギスウズベキスタン、そしてカザフスタンの国境が交わる辺り、
「タラス湖畔」において、
イスラムと中国(唐)の武力衝突が起きる。
東西の交易路の奪い合いが、その発端であった。
戦死者四万人とも言われる激戦であったが、
戦はイスラム側の勝利に終わる。
イスラム側の捕虜となった中国人の中に、
一人の「製紙職人」が混じっていた。
それまで、
イスラムやヨーロッパ諸国において「紙」は存在せず、
文字はパピルスや羊皮に記されていた。
捕虜となった中国人がイスラムに製紙技術を伝えたのだ。
羅針盤・火薬・紙・印刷」。
紙は中国における四大発明の中の一つであった。
十八世紀末までは「手漉き」であった製紙技術も、
イギリスにおいて連続式紙漉き機械が発明されることによって、
紙は安く大量に生産されるようになっていく。
ポップ・アップ・ブックに限らず、
本の歴史は、紙や印刷の技術の歴史と深く関わっている。
そして、
メッゲンドルファーの時代、
印刷技術においてもドイツは他国を二歩も三歩もリードしていた。
グーテンベルク以後の技術の積み重ねがあった。
ミュンヘンに生まれたメッゲンドルファーが
仕掛け絵本の父」と呼ばれるようになっていくのも、
紙や印刷の技術の歴史と深く関わっている。