■ 技術

aquio2005-05-18

昨晩、私のアパートにAがやって来た。
Aは芸大の学生。
専攻はグラフィック・デザイン。
ダダイスム」がどうの、「キュービスム」がこうの、
フォーヴィスム」がどうたらこうたら、
ピカソ」がなんたらかんたら、
「レジェ」がああしたこうしたと、芸術論を吹っかけてくる。
きっと、学校で習ったばかりなのだろう。
話を静かに聴いていると、
どうもAはアーティストになりたがっている様子。
その作品がアートであるかどうか、
それを決めるのは作者自身ではなく、
その作品を見る側にある。
同じように、
作者がアーティストであるかどうか、
それを決めるのは作者本人ではない・・・。
作者はただ直向きに制作に打ち込むしかないのではないか。
作品の評価は他人に委ねるしかないだろう。
当たり前のことではあるが・・・。
そして、
自分の作品を否定する力が無ければ、
新しい作品は生まれてはこない。
旧作を否定するから、新作が生まれる。
自分自身を否定しなければ、前には進めない。
そういった意味で、
制作の現場はとても厳しい。
Aのスケッチ・ブックを見せてもらう。
「線」で対象物を捉えるという、基本中の基本がまったくできていない。
アーティストへの道程は遥かに遠い・・・。
アートを気取る前に、
「描く」という技術を習得しなければならない。
「職人」としての「技術」を持たなければならない。
理屈や知識はとても重要だけれど、
思考を表現できる「技術」を獲得できなければ、
それはただの理屈で終わってしまう・・・。
技術を身に付けるには、
描いて、描いて、描きまくるしかない。
そこに理屈はいらない。