■ 無理

aquio2005-05-31



昨夜、Aがまた私のアパートにやって来た。
Aはグラフィック・デザインを専攻している画学生。
こいつは頭で考え過ぎる嫌いがある。
「考えてばかりいないで身体を動かせ」と忠告すると、
「そうやって失敗したらどうするんですか?」とぬかす。
失敗したらやり直せばいいだけのことではないか。
若いAにはやり直せる時間はいっぱいあるはず。
考えているうちに時間はどんどん過ぎていく。
私たちが若い頃、
周りには無謀な奴がゴロゴロいた。
アクセルを吹かせば、
回転をどこまでも上げていくエンジンのような奴が多かった。
彼等のエンジンには制御装置が着いていなかった。
回転が上がり過ぎて、
時にはオーバーヒートする時もあったし、
ブレーキが利かない時もあった。
ま、それもこれも、
今となっては笑い話ではあるが・・・。
Aのエンジンには制御装置が装着されている。
Aが自分の手で取り付けた制御装置。
アクセルを全開にしたこともないくせに、
「私の性能は時速百キロが限界です」と、
そう言っているようなもの。
自分で自分の限界を設定してどうするのだろうか。
思いっきりアクセルを踏みこんでみればいい。
もしかしたら、
二百キロのスピードが出るかもしれない。
そして、Aの口癖は「無理」。
「あの人が協力してくれないから無理」
「あの道具が無いから無理」
「お金が無いから無理」・・・・。
無理をした経験がないから、
いつまで経っても「自信」というものが身につかない。
自信が身についていないから、
こいつはいつも出来ない理由を考える・・・。
無理はしてみるもの。
無理が通れば道理は引っ込む」のだよ。