■ 衝動

aquio2005-07-22

弟子入り希望の若者がやってきた。
近頃、やたらと弟子入り希望者が多い。
巷ではカラクリ人形が流行っているのだろうか。
巷にはいろんな職業があるはずだが、
貧乏になりたい人間がどうしてこうも多いのだろうか。
不思議・・・。
「絵は描けるの?」という問に、
「いいえ・・・」という返事。
「木工の修行を積んだことは?」という問にも、
「いいえ・・・」という返事。
「いったい何ができるの?」と問うと、
「一から勉強させて欲しい」と言う。
「いいよ」と答えるとまことに嬉しそうな顔をする。
「で、月謝はいくらにしようか?」と問うと、
「エッ?」というような顔をする。
「月謝がいるんですかぁ・・・?」
「君は今、一から勉強したいと言ったではないか」
「人に教えを乞う場合、そのコストを支払うのは当然ではないか」と言うと、
「それならいりません」と言う。
「何もできないのに給料をもらおうと思ってきたんじゃないだろうね?」と問うと、
「働くんだから当たり前でしょう」と、仰る。
描かずにはいられない衝動につき動かされて画家は絵を描く。
書かずにはいられない衝動につき動かされて詩人は詩を書く。
ラクリ人形を作る場合も同じ。
飯を食うためにカラクリを作っているワケではない。
作りたいから作っているのだ。
食えないことも時にはあるが、
結果として飯が食えるようになるのだ。
そこのところがどうして理解できないのだろう・・・。
北陸に住む知人を介して、
明日は金沢芸大を卒業した女の子がやって来る。
「話を聞いてやってくれ」と言われている。
弟子入り希望者なのだろう、きっと。
いい子であればいいのだが・・・・。