■ 奴隷

aquio2005-08-04

S君が私のアトリエに弟子入りすることになった。
彼は京都市立芸大の受験に失敗した若者。
そのことは四月六日の日記に書いた。
今日、彼が描いたデッサンを見せてもらう。
線や面で形を捉えるという基本はすでにできているが、
質感や量感の表現がまったくなっていない・・・。
しかし、それは追々できるようになっていくだろう。
彼には鉛筆や絵筆を握った経験はあっても、
ナイフを握った経験がない。
それでは仕事にならない・・・。
ナイフの扱い方、
糸鋸機の取り扱い方法から教えていくことにする。
毎日のように課題を与え、
手が仕事を覚えるまで訓練を繰り返させることにする。
辛い作業だが、
確実に、日に日に腕は上がっていくはず。
なにより彼には「若さ」と「素直さ」がある。
素直な人間は必ず伸びる・・・。
期待したい。
私のアトリエには「士・農・工・商・アンコ・弟子」という身分制度がある。
アンコというのは息子が飼っている猫の名前。
彼はこれから奴隷のような扱いを受けることになるだろう。
協議の結果、
今年いっぱい彼には給料を出さないことにした。
「試供品」は「無料」と相場が決まってしるし、
奴隷に給料を支払う領主がいた例はない。
ま、死なない程度に時々は晩飯でもおごってやることにしよう。
私の知人でもある彼の両親からは、
「煮るなり焼くなりお好きなように」と言われている。
さてさて、これからどのように料理してやろうか・・・。
厳しいからといって、
途中で投げ出さなければいいのだが・・・・。