■ S太
今日は三男坊のS太の誕生日。
長男が生まれた時、
「俺とお前との間に生まれた子どもだから、
きっと頭が悪いに違いない」
「子どもには子どもの人生がある」
「勉強が好きな子どもであれば、
親が強制しなくても勉強するだろう」
「子どもに勉強しろとは絶対に言わないでおこう」
それが私と女房が取り交わした約束事だった。
ま、幸いにも長男と次男には言わずに済んだが、
S太が小学校一年生であった頃、
「こいつはひょっとしたら馬鹿じゃなかろうか」と、
そう思うことがあった・・・。
ある時、「なぁS太、お前は勉強が嫌いか?」と、
禁を破ってそう訊いたことがあった。
S太は「うん!」と答えた。
「なんで勉強が嫌いなん?」と訊くと、
「あのね、S太の頭は小さいでしょう!?」
「おやつでしょう、ご飯でしょう、おもちゃでしょう、
お外で遊ぶことでしょう、だから、頭にお勉強は入らないの」と、
S太はそう答えた・・・・。
頭の中はおもちゃで遊ぶことやご飯を食べることで一杯である。
頭が小さい故、それ以上のことを詰め込む余裕はない・・・という返事であった。
なんて頭のいい子なんだろうと、感激したことを覚えている。
そのS太も今日で二十二歳になる。
「将来は何をしたい?」と訊くと、
「やりたいコトが一杯あって、どれから手をつけていいか分からない」と答える。
相変わらず頭の中はいろんなことで一杯であるらしい・・・。
よくここまで育ってくれた。
S太に感謝したい。