■ 肉ジャガ

aquio2005-10-14

単身赴任で神戸に来ている。
神戸に独りで住むようになって二年半が過ぎた・・・。
「どう、忙しいけぇ?」
「注文の人形は出来上がったのけぇ?」
「いつもいつも何食ってるんだよぉ?」
「こんな料理に餓えてるんじゃないのけぇ?」と、
Yさんが肉ジャガをもってきてくださる。
「天気がいいから外で食べようよぅ」と誘われ、
近くの寺の境内に出かける。
気分はピクニック。
空は抜けるように青いし、鳥は鳴いている。
なんて気持ちがいいのだろうか・・・。
肉ジャガとおにぎりと香の物だけの簡単なお弁当だが、
弁当箱の中の肉ジャガはまだ湯気がたっていた。
作ってくださったばかりなのだろう。
それを車に積んでもってきてくださったのだ。
とても嬉しい。
有り難い・・・・・。
世間話をしながら肉ジャガを箸でつつく。
「歳をとったらこんなおかずが何よりだよなぁ・・・」
「んだよなぁ、フランス料理なんかもう食えねえもんなぁ」
「やはり俺達は日本人なんだよなぁ・・・」
「そりゃぁそうさ、俺達は歴としたモンゴロイドなんだわ・・・」
「俺達って戦後すぐに生まれたから、食い物にはシビアだよなぁ」
「んだなぁ、子どもん時はいつも腹空かせてたもんなぁ・・・・」
「米がやっぱり一番美味いよな」
「あのよぉ、米ってさぁ下半身に効くって知ってるけぇ?」
「いや、知らん・・・」
「でさ、小麦は頭に効くんだってさぁ」
「誰からそんなこと聞いたん?」
「昔、筑紫哲也三波春夫が対談でそう言ってたのさ」
「へぇ〜、筑紫哲也がそう言ってたの?」
「いや、三波春夫がさぁ」
「へぇ〜・・・」
「米は下半身に効くから、アジアは人口が多いんだってさ」
「へぇ〜・・・」
こうして、オジサンたちの午後は穏やかに過ぎていくのであった。