■ 苦髪楽爪

aquio2005-10-23

「苦髪楽爪/くがみらくづめ」という言葉がある。
苦労のある時には髪の毛がよく伸び、
楽をする時には爪がよく伸びる・・・。
そのような意味を持つ四文字熟語。
近頃、髪の伸びる速度がやたら速いように感じられる。
また、爪の伸びる速度も以前とは違うような気がする。
近年、男にも「更年期障害」があることが分かってきた。
加齢とともに起きる「テストステロン」の減少、
いわゆる「男性ホルモン」の減少が原因であるらしい。
毛髪の伸びも、爪の伸びも、
この男性ホルモンの分泌変化によるものなのだろう。
子どもの頃、「サムソンとデリラ」という映画があった。
神から祝福され怪力を授かったサムソンであったが、
ペリシテ人の美女「デリラ」の魅力の虜になり、寝ている間に髪を切られてしまう。
髪を切られたサムソンは怪力を失い捕虜となってしまう・・・
サムソンの怪力は髪の毛に宿っていたのだ。
「そうかぁ、男は髪の毛を切ると力を失くすんだぁ」
「そうかぁ、女には気をつけんといかんなぁ」と、
軽薄な子どもであった私は簡単にそう思い込んでしまったのだった。
近頃は髪の伸びがとても速い。
忙しさにかまけて四ヶ月ほど床屋にいっていない。
ライオンのたてがみのような頭をしている。
今日こそ床屋に行こうと思うが、
私は床屋に出かける度に体調を崩してしまう。
映画「サムソンとデリラ」の印象が心に深い影を落としているのだろう・・・。
父親の家系にはフサフサとした白髪の男が多いが、
母親の家系の男たちには、見事なまでのハゲチャビンが多い。
私は父親の家系の遺伝子を受け継いだようである。
しかし、若い頃の私の頭はまるで「タワシ」のようであった。
毛髪の量も多かったし、一本一本の髪の毛も太かった。
もし、母親の家系の遺伝子を引き継いでいたとしたら、
今頃は見事なハゲに成長していただろう。
ハゲていれば床屋に行く必要もなかっただろうに・・・。
歯医者に行くのも嫌いだが、床屋に行くのも嫌いなのだ。