■ かんとだき
「おでん」を作る。
関西では「おでん」のことを「関東炊き」と呼ぶ。
「かんとうだき」とは言わない。
「かんとだき」と言う。
「おでん」は「田楽」の「でん」に
接頭語の「お」がついた言葉。
もともとは「豆腐田楽」をさす言葉であったが、
「豆腐田楽」を意味する「おでん」と区別するため、
関西では「おでん」のことを
「関東炊き」と呼ぶようになったらしい。
その昔、祖母から聞いた話。
マーケットで大根やがんもどき、
竹輪やはんぺん、ジャガイモやすじ肉を買う。
ついでに蛸とこんにゃくも購入する。
蛸の入っていない「おでん」は考えられない。
出しを濁らせないため、
すじ肉を竹串に刺して湯引きしておく。
大根を輪切りにし、皮をむいて面をとっておく。
蛸の足を竹串に刺して湯がいておく。
「おでん」は下ごしらえが結構大変・・・。
たくさんの具を土鍋に放り込んで弱火でクツクツと煮込む。
具が煮えるまで、
甘エビをつまみながらチビチビと焼酎をやる。
土鍋から湯気が噴き出してくる。
蓋をとってみたが、
大根とジャガイモはまだまだ表情が硬い・・・。
なかなかに手強い奴らではある。
「えい、このやろ!」と、竹串でつついて出しをしみ込ませる。
大根君とジャガイモ君は後回しにして、
まずは練り物の竹輪さんからやっつけていくことにする。
冷蔵庫から辛子を取り出して皿に盛る。
しみじみと美味しい・・・・。