■ 雪・その2
朝六時に起床。
今日は岡山の職場に出勤しなければならない。
コーヒーを沸かしてシリアルを食べる。
六時五十分、アパートを出発。
中国自動車道の福崎までは快調であったが、
山崎を過ぎるあたりから雪が降ってくる。
西に向かうにしたがい、
道路の雪は次第に深くなっていく。
佐用から北に向かう道路は完全に凍結していた。
そろそろと車を走らせる・・・。
佐用インターから職場までの距離は約二十五キロ。
いつもなら三十分ほどの距離でしかない。
前を走る軽四に追いつく。
速度は二十キロを下回っている。
どうやらお年寄りが運転されている様子・・・。
雪で道幅が狭まっているため、
追い抜くきっかけがなかなかつかめない。
いつもの二倍の車間距離を保ちながら走る。
就業時間がジリジリと迫ってくるが、どうにもならない・・・。
「イライラは事故の元」と言い聞かせ、
ラジオを聴きながらのんびりと車を走らせる。
携帯から職場に連絡を入れるが、誰も電話口に出てこない。
大原の役場を過ぎた辺りから雪がますます深くなる。
職場は一三〇〇メートルを超える山の中腹にある。
役場がある場所の標高は約三百五十メートル。
ここから一気に三百メートルを駆け上がることになる。
その平均斜度は七パーセントを超える・・・。
チェーンを装着するかどうか、大いに迷う。
車から降りて雪質を手で確かめる。
ここからは上り坂ばかり。
下り坂はない。
「チェーンは不要」と判断する。
職場に辿り着いたのは九時十分だった。
十分の遅刻。
「遅い!」とAさんに叱られる・・・。