■ チョコレート

aquio2006-02-09

Oさんから缶入りのチョコレートを頂戴する。
缶には「蝶鮫」のイラストと
「CAVIAR」の文字が印刷されていた。
蓋を開けてみると、キャビアを模した
小さな粒々のチョコーレートが入っていた。
チョコレートといえば、
私には忘れられない思い出がある・・・・。
今から四十五年ほど前、
山岳部に所属していた仲間たちと
雪中登山を敢行したことがあった。
登った山は三重県の国見山。
標高一五〇〇メートルほどの山だったと記憶している。
先輩や先生には内緒の登山だった。
中学三年生の子どもたちだけで雪中登山を敢行したのだった。
最寄の駅からバスに乗って登山口まで行くつもりが、
乗っていたバスが途中で故障してしまった・・・。
登山口に着いたのは夕方の五時を回っていた。
明神平という地名だったと記憶しているが、そこまで登れば山小屋があるはずだった。
登山口から二時間ほどの行程でしかない。
夜間の登山には危険がつきまとう。
乗ってきたバスで引き返せばいいものを、
私たちはそのまま登山口に足を踏み入れたのだった。
地図を見誤ったり、
雪が降り積もっている倒木を山小屋と見誤ったり・・・。
なんとか山小屋に辿り着くことができたが、
時間は午後の九時を過ぎていた・・・。
山小屋は薄い板を柱に打ち付けただけの粗末な建物だった。
ストーブもドラム缶に煙突をつけただけの粗末なものだった。
壁の隙間から雪混じりの風が吹き込んでくる・・・。
ストーブにいくら木をくべても山小屋の中は暖まらない。
水場の水は完全に凍てついていた。
水がなければ、飯盒に入れてきた米も炊けない。
Kちゃんがとうとうシクシクと泣きだした・・・。
雪を溶かして喉の渇きを押さえ、
乾パンやチョコレートを食べて飢えをしのいだ。
よく生きて帰ってこれたものだと、懐かしく思い出す。
Oさん、ありがとうございました。
苦味が利いたとても美味しいチョコレートでした。