■ 大失敗
昨日から東京に来ている。
今日から吉祥寺のギャラリーで個展が始まる。
午前十時にはギャラリーに行かなければならない。
布団がぬくぬくと暖かかったせいで、
なかなか寝床から抜け出せないでいた。
「エイヤッ」と掛け声をかけて起き上がる。
「今からそちらに向かいます」
「あと四十分ほどで着くと思います」と、
東京駅からギャラリーに連絡を入れる。
吉祥寺駅からギャラリーに向かう途中、
ポケットに入れておいたはずの携帯電話が無くなっていることに気付く。
列車の中では椅子に腰掛けて居眠りをしていた。
どうやら、その時にポケットから滑り落ちたらしい・・・。
慌てて駅に引き返し、遺失物係りの方に捜索をお願いする。
誰かが拾っていてくれないかと、何度か携帯に連絡を入れてみるが、
呼び出し音が聞えるばかり・・・。
携帯電話はとうとう見つからなかった。
誰かに悪用される恐れがでてきた。
駅前の「au」ショップに出向き、それまでの番号の廃棄手続きを行う。
新しい携帯を購入し、
新しい電話番号と新しいメール・アドレスを登録する。
重要なデータにはすべてロックがかかっているが、
電話番号にメール・アドレス、そして住所・・・、
登録していた個人データの漏洩が心配ではある。
悪用されなければいいのだが・・・・。
思えば、
十年ほど前には今ほど携帯電話は普及していなかった。
大事なことはすべて手帳に記載していたのではなかっただろうか。
今回のことは
携帯電話を所持していたがために起こった問題だが、
しかし、もはや携帯電話なしでの生活は考えられない・・・。
できれば持ち歩きたくはないのだが、
仕事がそれを許してくれるはずもない・・・。
これからは必ずロックをして持ち歩くことにしよう。