■ 遅刻

aquio2006-03-01

その昔、
在来線では約束の時間に間に合わないと判断し、
京都から新幹線で新大阪に向かったことがあった。
京都発十一時五十四分の「ひかり」のチケットを買った。
そうとう焦っていたのだろう、
その時の
私の頭の中には「11:54」という数字しかなかった。
十一時五十四分発の「ひかり」に飛び乗ったが、
いつまで経っても「ひかり」は新大阪に着かなかった・・・。
そのうち、新幹線は「岐阜羽島」の駅を通過した。
岐阜羽島かぁ・・・」
「ここは自民党大野伴睦が作らせた駅だったよなぁ」
「昔は一面の田圃だったのになぁ」
「エッ、岐阜羽島ァ・・・?」
その時になって、
私は東京に向かっていることにはじめて気付いたのだった。
西行きと東行き・・・・。
どうやら、同時刻に京都を発車する「ひかり」があったようである。
列車が名古屋に着いた時、
約束していた時間はとっくに過ぎてしまっていた・・・。
あの日は朝から頭がボーッとしていた。
今日は吉祥寺における個展の最終日。
今日はその搬出の作業をしなければならない。
今朝は六時にセットしていおた目覚まし時計に起される。
新神戸に着いたのは八時を少し過ぎた頃だった。
今日は朝からなんだか頭がボーッとしている。
あの時の状況によく似ている・・・。
京都から逆方向に向かってしまった、あの時の恐怖がよみがえる。
福岡行きの新幹線に乗ったらどうしよう・・・。
「今日は東京に向かうのだぞ!」と自分に言い聞かす。
コンコースのカフェで眼を覚ますことにした。
泥水のように不味いコーヒーのおかげで眼が覚める。
八時五十五分発の「のぞみ」のチケットを買う。
ギャラリーには予定より三十分ほど遅れて到着。
YさんとOさんがお待ちかねであった。