■ 上手と下手
下手になろうとして腕を磨く職人はいない。
皆、上手になりたいと願って精進を重ねる。
精進を重ねるうち、
自分の腕が上達していることに気付く時がある。
こうなればしめたもので、
ますますその腕は上達していくことになる。
苦しいはずの修練が楽しいものに変化していくのだ。
上手になったと実感できるようになる。
しかしその内、
自分が上手なのか下手なのか分からなくなってしまう。
そんな時が必ずやってくる。
そして、上手になればなるほど、
上には上があることを知る・・・・。
上手が上手を知るようになるのだ。
行く手に大きな壁が立ちはだかる。
スランプに陥ってしまう・・・。
「いったいどうすればいいのか!?」、
それすら分からなくなってしまう時が必ず来る。
この壁を乗り越えるのがまた一苦労なのだが、
越えたら越えたで、
そこにはまた次の壁が待ち構えている。
どこまでもこのことの繰り返しが続く・・・。
ただ、
言葉ではうまく表現できないが、
「上手」を極めた職人が「下手」を目指すことがある。
上手になるために捨ててきたものの大きさに気付くことがある。
この時の苦悩は・・・とても大きい。
求めなくても、「問題」は常に自分の中から湧き上がってくる。
そして、「解答」は常に自分で見つけ出していくしなかい。
学校は問題も解答も用意してはくれない。