■ 母と子
大阪に「愛隣地区」と呼ばれる労務者の町がある。
その昔、ここは「釜が崎」と呼ばれていた。
この町で一人の売春婦が逮捕されたことがあった。
逮捕された売春婦は十四歳の少女だった。
少女は警察からケースワーカーの手に引き渡された。
なぜ彼女は売春婦になったのか?
彼女の母親は覚醒剤の中毒者であった・・・。
覚醒剤を買う金を得るため、
母親が娘に売春を強要したのだった・・・。
少女は幼い身体を労務者たちに売り、
母親のために金を稼いだ。
警察に逮捕された時、
少女の心と身体はボロボロの状態であったらしい。
しかし、ケースワーカーと触れ合ううち、
少女は少女らしい心を取り戻していく。
少女は自分の境遇を呪い、
ケースワーカーの前で号泣したことがあったらしい。
涙が枯れた時、
「それでもなぁ、うち、お母ちゃん大好きやねん」、と
少女はポツリともらしたという・・・。
この話を思い出す度、目頭がいつも熱くなってしまう。
子どもは母親が大好きなのだ。
しかし、子どもを虐待する母親が後を絶たないのはどうしたワケか・・・。
母親は自分の子どもが嫌いなのだろうか。
そんなことはない。
大好きに決まっている。
ただ、接し方を知らないだけなのだろう・・・。
「虐待」をコミュニケーションの一つとして捉えるなら、
それは随分と下手なコミュニケーションのとり方と言える。
「虐待」には「言葉の暴力」も含まれる。
昨日、「妻と私」という見出しで日記を書いた。
その関連でふと思い出した話・・・・。