■ 母と子

aquio2006-03-09

大阪に「愛隣地区」と呼ばれる労務者の町がある。
その昔、ここは「釜が崎」と呼ばれていた。
この町で一人の売春婦が逮捕されたことがあった。
逮捕された売春婦は十四歳の少女だった。
少女は警察からケースワーカーの手に引き渡された。
なぜ彼女は売春婦になったのか?
彼女の母親は覚醒剤の中毒者であった・・・。
覚醒剤を買う金を得るため、
母親が娘に売春を強要したのだった・・・。
少女は幼い身体を労務者たちに売り、
母親のために金を稼いだ。
警察に逮捕された時、
少女の心と身体はボロボロの状態であったらしい。
しかし、ケースワーカーと触れ合ううち、
少女は少女らしい心を取り戻していく。
少女は自分の境遇を呪い、
ケースワーカーの前で号泣したことがあったらしい。
涙が枯れた時、
「それでもなぁ、うち、お母ちゃん大好きやねん」、と
少女はポツリともらしたという・・・。
この話を思い出す度、目頭がいつも熱くなってしまう。
子どもは母親が大好きなのだ。
しかし、子どもを虐待する母親が後を絶たないのはどうしたワケか・・・。
母親は自分の子どもが嫌いなのだろうか。
そんなことはない。
大好きに決まっている。
ただ、接し方を知らないだけなのだろう・・・。
「虐待」をコミュニケーションの一つとして捉えるなら、
それは随分と下手なコミュニケーションのとり方と言える。
「虐待」には「言葉の暴力」も含まれる。
昨日、「妻と私」という見出しで日記を書いた。
その関連でふと思い出した話・・・・。