■ 偏見

aquio2006-04-13

いいことばかりのドイツ旅行ではなかった。
どこに行っても
人種に対する「偏見」のようなものを感じた。
昔、初めてドイツを訪れた時のことだった。
ミュンヘンのレストランでの出来事。
レストランはほぼ満席の状態であった。
ウエイターが「何人か?」と訊くので、
「一人だ」と答えると、
「ここに座れ」と指差されたのは厨房の出入り口だった。
食器が山のように積まれたテーブルであった。
私が座れと薦められたのは食器を置くためのテーブルであったのだ。
「お前は前の戦争で何を学んだ?」
「頭悪いんじゃないのか?」
「このナチ野郎!」、
と日本語で毒づきながら他のテーブルを探したという経験がある。
フランクフルトの一流といわれるホテルに泊まった時も、
人を見下したようなフロントの態度はひどかった。
「カードを見せろ!」と言うので、
「アイ・キャン・ノット・アンダースタンド・イングリッシュ・アンド・ジャーマニイ」
「ジャパニーズ・プリーズ」、と言って困らせたことがあった。
皮膚の色が白い、
それがそんなに優れたことであるなら、豚はもっと優れているのだよ。
「旅の恥はかき捨て」と言う。
国が違えば、その習慣や風習はおのずと違う。
旅人はその習慣や風習に戸惑いながらもいろいろな失敗をおかす。
「この国の習慣や風習を知らないために大変な恥をかいてしまった」
「しかし、私は旅人だからどうか平に勘弁願いたい」
そして、その国の人間は他国の人間の失敗を笑って許す・・・。
それが「旅の恥はかき捨て」の本当の意味ではないか。
仮定の話だが、
初めて行ったドイツでスリの被害にあったとする。
そのスリがドイツ人であったとしたら、
「ドイツ人を見たらスリと思え」と、そう私は思い込むかもしれない・・・。
たった一つの事例ですべてをそうだと思い込む。
そこから「差別」や「偏見」が生まれるのではないだろうか。
心しなければならないことだと思う。