■ 大掃除
どうにもこうにも居心地が悪い。
使い勝手が悪くなってきた。
なるべく音を立てないよう気を使いながら、
アパートの大掃除を始める。
時間は午後十時。
思い立ったらやらずにはいられない・・・。
まずは押入れの整理から始める。
チェコで買ったブリキのてんとう虫のおもちゃ、
リンさんからの絵葉書、
無印良品で買ったスティックのり、
「エド・マクベイン」の「ビッグ・バッド・シティ」、
ソニーの「DATA Diskman」のアダプター・・・・。
失くしたと思い込んでいたモノがゾロゾロと出てくる。
六畳の部屋のテーブルを四畳半の部屋に移動させる。
炬燵を押入れに仕舞いこむ。
買っておいたパイン材の板に四本の脚を取り付け、
板の反りを防止するための角材を取り付ける。
電動のドライバーを使えば簡単な作業ではあるが、
時間のことを考えれば、
部屋で大きな音を立てるワケにはいかない。
すべてを手作業で行うことにした。
長さ一メートル八十センチ、幅四十五センチの白木のテーブルが出来上がる。
三十六本のビスを取り付けているうち、汗をビッショリとかいてしまった。
絵の具に絵筆、ナイフに鉛筆・・・・。
作業に必要なモノをテーブルの上に並べる。
座椅子を押入れから引っ張り出してくる。
絵の具の横にウイスキーの瓶も並べる。
作業に疲れを覚えた時、
酒を飲みながら座椅子にもたれかかる準備がこれで整う・・・。
シャワーを浴びて寝床に向かう。
時計の針は午前二時を指していた。