■ 雨

aquio2006-05-19

昨夜から雨が降り続いている。
今朝から新作のからくり人形の作図にとりかかる。
横幅約六十センチ、
奥行き約一メートル、
高さ約六十センチのからくり人形。
描いているうち、どうしても辻褄が合わなくなる。
いたるところで寸法が合わなくなっている。
図面を再度見直す。
長さ四百十ミリに描いたはずのシャフトが、
長さ四百十一ミリになっていた・・・。
湿気を吸って紙が膨らんでしまったのだ。
これでは正確な図面は描けない。
機械から吐き出される冷気は好きになれないが、
除湿の効果を期待してエアコンのスイッチを入れる。
しかし、エアコンのスイッチを入れたからといって、
湿気を吸って膨らんだ紙が簡単に元に戻るとは思えない・・・。
紙が乾くまで、馴染みの喫茶店でサボることにした。
農業を営む人々にとって、
今日の雨はまさしく慈雨なのであろう。
しかし、今日の雨は私にとっては迷惑此の上ない雨ではある。
雨が降って困る人間もいれば、喜ぶ人間もいる。
昨晩、「しばらく連絡がないから、どうしてるかな・・・と思って」と、
長男のDが私の妻宛に電話をかけてきたらしい。
珍事ではある。
私に反発して東京に出ていってしまったDだが、
彼も今年で三十一歳になるはず。
そろそろ人生の何たるかが判りかけてきたのかもしれない。
女性ほどの劇的な身体変化を経験しないからだろうか、
男は大人になるのに時間がかかる・・・。
Dは東京でイラストレーターの職に就いている。
今日は東京でも雨が降っているのだろうか。
絵の具が乾かず、Dも困っているかもしれない・・・・。
茶店の窓から景色を眺めながら、ふとそんなことを思う。