■ 床屋

aquio2006-07-09

あの床屋に行ったのはいつだったろうか・・・。
「MEN'S HAIR SALOON ○○○○」。
腰の袋に数本のハサミや櫛を入れた若者が
髪を整えてくれた。
様子のいい店構えに釣られて入ったのだが、
その若者の腕はひどいものであった。
剃刀の刃も研いでいなかったに違いない。
剃りあがった顔はいつまでもヒリヒリしていた。
剃り残しの髭も数本あった・・・。
ライオンのタテガミほど格好はよくないが、
ライオンのタテガミほどに髪が伸びてしまった。
この季節になると、さすがに暑苦しい。
ここまで伸びてしまうと、洗うのも面倒くさくなってしまう。
今日、馴染みの床屋に行く。
「おや、久しぶり」
「四ヶ月ぶりですよ」
「あんたは一年に三回しか来ないんだから」と、
床屋のおかみに嫌味を言われる。
田舎町の小さな床屋だが、その腕はなかなかいい。
この床屋に通うようになって十七年になる。
親父さんが鬼籍に入られてから七年になるだろうか・・・。
今は立派に成人した息子が代を継いでいるが、
私の髭はいつもおかみが剃ってくれる。
髭を剃ってもらうのはとても気持ちがいい。
髭を剃ってもらいながら、いつも私はウトウトと眠ってしまう。
しかし、どういうワケか、
私は髪を切る度に体調を崩してしまう。
風邪をひかなければいいのだが・・・。