■ 中村屋
「お昼はカレー・バイキングにしよう!」
ということになり、
Sさん、Mさんと新宿「中村屋」に向かう。
「中村屋」のカレーは何度も食べたが、
カレー・バイキングを試したことは一度もない。
「ここのシーフード・カレーは美味いぜ」とか、
「ベジタブル・カレーもなかなかいける」とか、
「ナンがこれまたなかなか美味い」とか、
Sさんの講釈がこれまたやかましい。
エレベーターを降りると、
「萩原碌山」作「鉱夫」の胸像が飾ってあった。
昔、私は長野県北安曇郡白馬村に住んでいた。
南安曇郡穂高町までは車で一時間ほどの距離。
穂高には「碌山美術館」があった。
「碌山美術館」にはよく通ったものだった。
新宿で「鉱夫」に出会うとは・・・。
いや、とても懐かしい。
そもそも「中村屋」は東大の近くに店を張るパン屋であった。
しかし、経営が行き詰って倒産したという。
その倒産したパン屋を買い取ったのが「相馬黒光」であった。
「黒光」は「中村屋」という屋号をそのまま残し、
同じ場所、同じ店舗でパン屋を開業する。
商才に恵まれた「黒光」は「中村屋」の事業を拡大させ、
ついには新宿への出店を果たす・・・。
これが新宿「中村屋」の始まりであったと聞いている。
創業者の「相馬黒光」は「碌山」のパトロンであった。
「碌山」の才能を愛した「黒光」は彼に惜しみない援助を差し伸べたが、
二人は女と男の関係にあった、とも聞く。
しかし、本当のところは、判らない・・・。
カレー・バイキングは美味しかった。
お腹が一杯になってしまった。
シーフードも美味かったし、ベジタブルも美味かった。
またいつか「鉱夫」に会いにくることにしよう。