■ 大津祭り
「今日から大津祭りが始まるねん」
「けぇへん(来ませんか)?」
「今夜は宵宮やねん」
「からくり見にけぇへん?」
「からくりの曳山がぎょうさん(たくさん)あんねん」
「からくりを触らせてあげるわ」
「特別に頼んであげるし」
今朝、大津にお住まいのNさんから電話が入る。
「ほんまぁ(本当に)?」
「ほな、すぐ行くわ」、
と答え、大津に向かって車を走らせる。
京都を過ぎた辺りで、
今日は「KOBE ART VILLAGE CENTER」を訪れる予定であったこと、
チェコのポップアップ・ブック展を見る予定であったを思い出す。
「しまった・・・」、とは思ったが、
「京都過ぎちゃったもんね」
「もうすぐ大津だもんね」
「いまさら引き返せないもんね」、と自分を誤魔化す・・・。
宵宮が始まるまで、Nさんと近江八幡の町並みを散策する。
「粋な黒塀 観越しの松に 仇な姿の 洗い髪・・・」
「春日八郎」が歌う「お富さん」の世界がそこにはあった。
来年の九月、この近江八幡の町で「琵琶湖ビエンナーレ」が開催される。
Nさんと、その舞台となる町屋を見て歩く。
午後五時、近江八幡から大津に移動する。
「コンコンチキチン・コンチキチン・・・」
町内のいたるところから祭囃子が聞えてくる。
江戸時代の大津の経済力を象徴する祭り。
玉屋町の曳山「湯立山/ゆたてやま」に上がり、
鐘を叩かせていただく。
幾つになっても、祭りになると血が騒ぐ。
稀有な体験をさせていただいた・・・。