■ First gear,it’s all right
「相談に乗って欲しいことがあるねん」、
とTさんがアトリエに入ってこられる。
傍には一人の中年の男性が佇んでいらっしゃった。
「D社のKさんです」、と紹介される。
「この積み木を見てどう思う?」
「ちっとも売れへんねん・・・」
「どうやったら売れるやろか?」、というご相談。
Kさんがデザインされた積み木であるという。
素晴らしいデザインの積み木。
まったく新しい概念の積み木ではあったが、
問題がまったく無いワケではない・・・。
遊びの現場に関わる人間として、いくつか意見を述べさせていただく。
積み木は「遊びの道具」である。
遊びは遊びであり、
おもちゃはおもちゃであるべきなのだが、
どこかしらこの積み木には「教育」の臭いが漂っている・・・。
おもちゃは「教材」ではないのである。
また、木のおもちゃの生産性はとても悪い。
生産性が悪いから、どうしても価格は高いものになってしまう。
「ドイツで生産すればどうか!?」
「日本が駄目ならヨーロッパで売ったらどうか!?」
「ドイツのメーカーを紹介しましょうか?」、とKさんに持ちかける。
二月二日からドイツに出かけなければならない。
ニュールンベルクで開催される世界最大の「spielwaren messe」、
つまり、「おもちゃメッセ」の見学が主な目的なのだが、
会場で、この積み木を生産してくれそうなメーカーを探してみることを約束する。
さて、正月らしい穏やかな日々も過ぎ去った。
今日からギアを一速に入れる。
昔、「ビーチボーイズ」が「LITTLE HONDA」という歌をヒットさせたことがあった。
歌の出だしは「First gear,it's all right」であった。
歌は「Second gear,I lean right」「Third gear,hang on tight」と続く。
今年も一年がこの歌のリズムのように快調であってくれれば、と願う・・・。