■ へつる・はつる

aquio2007-01-09

id:ACORNさんの日記に
「へつる」という言葉が記載されていた。
私は木工の仕事にも従事しているが、
私たちの間では、
「そこの出っ張りをへつっておいて」などと、
日常的に使用する言葉である。
「へつる」には、
「少し削って減らす」「少し分量を減らす」、
というような意味がある。
母に「『へつる』という言葉を知っているか?」と訊くと、
「まったく使ったことのない単語である」、という返事・・・。
しかし、私には子どもの頃から、
その「へつる」という単語を使っていたという記憶がある。
市場に買い物に行った時など、
「もう少し目方をへつってください」などと、
確かに、乾物屋の店先で使ったという記憶がある。
職場のKさん、彼女は四十歳を超えているのだが、
そのKさんに訊いたところ、
「初めて聞く単語である」、という返事・・・。
しかし、横にいたOさん、彼女は二十二歳なのだが、
そのOさんは、「お茶碗のご飯をちょっとへつって・・・」などと、
「へつる」は日常的に使う単語である、という。
その二人に「それでは『はつる』という言葉を知っているか?」、と訊くと、
二人とも「初めて聞く言葉である」、という返事・・・。
「はつる」には、
「少し削りとって減らす」「少し剥いで減らす」、
というような意味がある。
「へつる」と「はつる」、
ほとんど同じような意味を持つ言葉だが、
「へつる」という言葉には、鉋で木を薄く削りとる、
または、指先で少しずつ分量を減らす、というイメージがあり、
「はつる」には、玄翁(げんのう・大型の金鎚)で石を削りとる、
または、手斧(ちょうな)で木の皮を剥ぐ、というイメージがある。
同じ屋根の下に住む家族であっても、
「へつる・はつる」を知っている者と知らない者に分かれる・・・。
二十歳の女性が日常的に使うことはあっても、
四十を超える女性はまったく知らない言葉であるという・・・。
「へつる」と「はつる」、
その語源となるものはいったい何なのであろう・・・。