■ 心変わり
私は今回のドイツ旅行にNとTを連れていった。
NとTは二人ともパート勤務の女性である。
そのNが私のデスクにやって来た。
N「私、決心したことがあるんです」、
私「オッ、何を決心したんや?」
N「私、ドイツのGさんの仕事ぶりに感銘を受けました」
「私もGさんのような女性になりたいです」
Nは二人の子どものお母さんである。
ご主人の給与で家計は充分に賄えているはず。
彼女がこの職場で得る賃金は、
彼女の遊興費と子どもの小遣いに費やされてきたが、
全身全霊を傾けて仕事に取り組むGさんの姿を見て、
「私はこのまま普通の家庭の主婦であり続けていいのか?」
「職場は小遣い稼ぎの場であっていいのか?」
「仕事とはそんなものなのか・・・?」
「人生の目標となる人が見つかった」、と言うのだ。
N「私もGさんのようになれるでしょうか?」
私「人はなりたいと思うものになれる、そう思うよ」
N「今日から心を入れ替えて頑張ります」
「どうかこれからもよろしくお願いします」
そういう内容の話であった・・・。
今、彼女はとても恵まれた家庭環境にある。
しかし、明日のことは誰にも分からない。
ご主人と死別する、ということがあるかもしれない。
離婚、ということもあるかもしれない。
今の状態が永遠に続くなんてことはあり得ないものなのだ。
たとえ自分がどのような状況に置かれたとしても、
精神が自立していれば、何とかなる。
精神が自立していれば、経済的にも自立できるはず・・・。
彼女は自立することを決意したというのだ。
彼女には長くこの職場に留まって欲しい。
私は彼女が持つ潜在的な力を見込んでドイツに連れていったのだが、
その甲斐があった、というものである。
このような心変わりはとても嬉しい。
いつかは彼女を正社員として迎えたい、と思う。
彼女のポテンシャルをどのように発揮させるか、
それがこれからの私の仕事になる。