■ 面接

aquio2007-02-25

千葉県出身のK君が職場を去った。
K君の退職にともない、
岡山の職場で職員を募集したところ、
一名の募集に対し、
応募してきたのはたったの一名だった。
千葉県に住む二十四歳のI君。
昨年、東京造形大を卒業したばかりの若者。
東京造形大のK教授の教え子にあたるが、
職員のH君の後輩にもあたる。
「誰かいい子いませんか?」、
とH君がK教授に声をかけていたらしい。
一昨日、そのI君の面接を行う。
彼は作品の写真集を持参してきていたが、
デッサンを見れば、彼の実力がどれほどのものであるかが分かる。
素晴らしいデザイン感覚を持った若者だった。
私の質問にも的確な答を返してくる。
頭もなかなかに良さそうである。
「採用された場合、いつから出社できますか?」
「四月から来れます」
「では、四月から来てください」
「エッ?採用決定ですか?」
「はい、採用決定です」
まさかその場で採用が決まるとは思ってもいなかったのだろう。
I君は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
聞けば、彼は東京から夜行バスに乗って岡山にやって来たという。
岡山の職場は途方もない山の中にある。
最寄のバス停までH君が送っていったが、
さて、彼のために住居を探してやらなければならない。
千葉県出身のK君が職場を去り、
千葉県出身のI君が新たに職場にやってくる・・・。