■ 鳥取・その2

aquio2007-03-18

電話の呼び出し音で眼が覚める。
私の部屋の電話が鳴っていた。
受話器を手に取ると、
フロントが「Yさんからのお電話です」と告げる。
頭がボケている。
「Yさん?どちらの?」と訊くと、
「H町のYさんとおっしゃっていますが」、と言う。
「はいはい、繋いでください」、と告げるやいなや、
Yさんの焦ったような声が耳に飛び込んできた。
「動かないんです!」
「何が?」
「Nさん(私のこと)が作ったからくりが・・・」
「エ〜ッ・・・、すぐそちらに向かいます」
慌てて衣服を整え、清算を済ませてH町に向かう。
車を運転しながら、Yさんと連絡を取り合う。
「電源板のスイッチは入っていますか?」
「入っています、確認しました」
「ヒューズ・ボックスを確認してください」
「ヒューズは切れていません」
「コンセントは繋がっていますか?」
「コンセントも繋がっています」
何が原因でからくりが動かなくなったのか・・・。
思考の堂々巡りが始まる。
少々焦りを覚える。
車を路肩に止め、煙草に火を点け気を落ち着かせる。
煙草を吸っているうち、その原因に気付く。
「九時まで待ってみてください」、とYさんに連絡する。
からくり人形にはタイマーがセットされている。
九時になれば、メインのスイッチが作動するはず。
メイン・スイッチが作動しなければ、すべてのスイッチが入らない。
勿論、テスト駆動のためのスイッチも作動しない。
九時までにはまだまだ時間がある。
それまで、国道沿いの喫茶店で時間をつぶすことにした。
九時、H町の現場に到着。
テスト用の電源スイッチを押す。
からくりは見事に動き出した。
先ほどは目覚めたばかりで頭が作動していなかった。
タイマーがセットされていることをすっかり忘れていた・・・。
ま、制作の現場ではいろいろなコトが起きるものである。
午後四時、岡山の自宅に向けて出発する。