■ 感慨

aquio2007-04-13

私はペンションの経営を三十二年間続けている。
開業した頃は、
「ペンション?何それ?」という時代だった。
ペンションの知名度を上げるため、
当時の仲間たちと随分と苦労をしたものだった・・・。
開業して四年が過ぎようとした頃だったか、
「anan」や「non-no」、
いわゆる「アンノン族」の間で
ペンション・ブームが起きる。
雑誌にペンションの記事が載らない日はなかったが、
そのブームもそうは長く続かなかった・・・。
ペンションに替わり、
温泉旅館が脚光を浴びる時代が到来したのだった。
しかし今、その温泉旅館が苦戦を強いられているという。
数年前、温泉に添加物を混入するという事件があった。
温泉旅館の衰退はあの頃から始まったように思えるが、
根本的な問題は、その料金の高さにあると思う。
「いいモノは高い」
しかし、「高いモノがいいモノ」であるとは限らない。
そして、モノには「相対的料金」という側面がある。
一泊二食税込み三万円の旅館があると仮定した場合、
泊まってみて、その料金が安いと感じられれば、
その旅館の料金は「相対的に安い」ということになり、
サービスが悪ければ、その料金は「相対的に高い」ということになる。
また、五万円もあれば韓国に旅行できる時代において、
その三万円という料金そのものが高すぎはしないか・・・。
ペンションが脚光を浴びている頃、各地の温泉旅館は寂れに寂れていた。
しかし、温泉旅館が脚光を浴びるようになるとともに、
ペンション業界は徐々に衰退していった・・・。
今、その温泉旅館の衰退が始まろうとしている。
まさに、「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」ではあるが、
ペンションと旅館、その業態はどうあれ、
「安くていいモノ」、または、「高いけれどいいモノ」しか生き残っていけない時代ではある。
さてさて、私が経営するペンションは
お客様からどのような評価を受けているのであろうか・・・?