■ こしあぶら
昨日から岡山の自宅に戻っている。
昨夜のおかずは天ぷらだった。
わさび葉、たけのこ、たらの芽、蛸、
小エビのかき揚げ、そして、「こしあぶら」。
「こしあぶら」はたらの芽によく似ている。
幹や枝に棘があるのがたらの芽、
棘がないのが「こしあぶら」、
そう覚えておけば間違いはないだろう。
放っておくと、
「こしあぶら」は二十メートルを超える大木に育つ。
我が家の荒庭には、
この「こしあぶら」の大木が何本も生えている。
その種が飛んできたのだろうか、
庭には高さ一メートルほどの「こしあぶら」がウジャウジャと生えている。
インターネットで検索してみると、
「こしあぶら」は山菜の女王と呼ばれており、
二百グラム三千円という高値で取引されているらしい。
売りにいこうかしら・・・。
庭に自生する「こしあぶら」を売れば、一財産築けるかもしれない。
なんたって製造原価は「ゼロ」なのであるから、
笑いが止まらないかもしれないな。
サイトでは、「優しい香り・優しい味」と紹介されていたが、
採りたての「こしあぶら」には強い香りが漂う。
樹液を濾し、その樹液を油として使用したことから
「こしあぶら」と呼ばれるらしいが、
若木にはそれほどの油分があるとは思えない。
産毛の生えた若芽にはとても優しい風情が漂う・・・。
水上勉に「土を喰らう」という著書があったが、
まさしく、昨夜は「土を喰らう」食卓であった。
使い古されて手垢のついたような表現だが、
「大地の恵み」とはこのようなことを言うのだろう。