■ 果実酒
Kさんは大の果実酒マニア。
神戸を大震災が襲った時、
大きな余震が何度も続くなか、
果実酒を護ることに全精力を傾けた、
というほどのマニアである。
ご自宅の棚には十年、二十年という
ビンテージものの梅酒が保存されているという。
今朝、そのKさんから梅と花梨の果実酒を頂戴する。
梅は五年もの、花梨は四年ものであった。
アパートに持ち帰り、冷暗所に保管する。
深夜、お気に入りのグラスを取り出し、
部屋の明りを消し、行灯と蝋燭に灯を点す。
「高橋真梨子」のライブ・ビデオを観ながら、五年ものも梅酒をいただく。
「マリーという娘と 遠い昔に暮し
悲しい思いをさせた それだけが気がかり
五番街で噂をきいて もしも嫁にいって
今がとても幸せなら 寄らずにほしい・・・」
いいねぇ、「五番街のマリーへ」は・・・。
梅酒はとてもまろやかな味だった。
続いて四年ものの花梨酒をいただく。
「高橋真梨子」のライブ・ビデオを観ているうち、
若い頃のことをいろいろと思い出す。
なんだか切なくなってしまった。
そういえば、
昔、「酒は涙か溜息か 心の憂さの捨てどころ」っていう歌があったなぁ・・・。
作曲は「古賀政男」だったが、作詞者は誰だったっけ・・・?