■ 長生長者
「ちょっと道を訊きたいのやけど」、と
初老の男性が職場に入ってこられた。
職員の一人がその対応をしたのだが、
帰り際、私の顔をジッと見つめながら、
「あんたはおもしろい顔をしとるな」
「あんたはきっと長生きするわ」
「それに、きっと金持ちになる」
「長者になれる相をしとる」
「断言できる」、
とそう告げて、その男性はさっさと去っていった。
呆気にとられてしまったが、
私は過去に幾度か同じようなシーンに遭遇したことがある。
その昔、京都の八坂神社の境内を散歩している時も、
八卦見から見料を只にしてやるからと、
私の運勢を占ってもらったことがあった。
前の日記にも書いた憶えがあるが、
その時の私の運勢は、
「あんたは女に助けられて生きていく一生やな」、というものであった。
ある中国人の老女からも
「ふーむ、いい運勢を持っているわね」、
と手相を見ながら言われたことがあった・・・。
博多のバーでビールを飲んでいた時は、
「貴方は肩に大勢の生霊や死霊を背負ってますね」
「それだけ多くの化け物を背負っていれば、普通はとっくに死んでいるはずなんだけど・・・」
「貴方にはそれを跳ね返すだけの力があるのかな・・・」
と、不気味なことをいきなり言われたこともあった。
また、ある老人からは、
「胃に気をつけなされ」
「胃が丈夫になれば、あんたの悪運はさらに向上するじゃろう」、
と言われたこともあった・・・。
神の存在は信じていないが、
長命短命は「神のみぞ知る」ということであるし、
「金持ちになる」と言われたところで、
この歳ではその金の使い道に困るではないか・・・。
しかし、ま、
「あんたの命はとても短い」
「あんたは貧乏にのたうち回って死ぬやろ」、
と言われるよりは、はるかに気分がいい。
さて、今日も精を出して働くことにしよう。