■ こむら返り
めったにないことだが、
眠っている最中に「こむら返り」をおこす。
右脚のふくらはぎ。
足首を曲げてふくらはぎを伸ばしてやるが、
収縮しきった筋肉はなかなか元に戻ってくれない。
足首を曲げながら、
両手でふくらはぎを摩って温める。
その痛みですっかり眼が覚めてしまった。
ふくらはぎを摩っているうち、尿意をもよおす。
けんけんをしながらトイレに向かう。
とても、情けない。
「こむら返り」をおこした場合はふくらはぎを温めるに限る。
風呂の蓋に腰をかけ、
パジャマの裾をまくり、シャワーの湯を右脚にかける。
湯をかけ続けているうち、痛みが少しずつ遠のいていく・・・。
時間は午前五時半。
こうなったらもう眠れない。
右脚を庇いながらキッチンに立ち、湯を沸かす。
湯を沸かしているうち、咳が出始める・・・。
大根の蜂蜜漬けを湯で薄めて飲む。
父は気管支に問題を抱えていたし、母は軽い喘息を患っている。
そんな両親の遺伝子を引き継いでいるのであるから、
風邪をひいた場合など、今回のようにひどい症状を引き起こすことになる。
若い頃にはまったくそのような症状は出なかったが、
ま、この歳になって、やっと父と母の遺伝子が発現しだしたのだろう。
遺伝子の発現といえば、
私は男ばかりの三人兄弟であるが、
十五年ほど前まで、三人はまったく違う顔つきをしていた。
しかしお互いが歳をとった現在、
微妙な違いはあるとはいえ、三人の顔つきはよく似てきた・・・。
三人の顔には母方の血が色濃く流れている。
兄弟それぞれが五十歳を超える頃、
受け継いだ母の遺伝子が急に暴れだした、ということなのだろう。
さてさて、私も気管支には気をつけなければ・・・。