■ K君

aquio2007-06-13

家具作家のN君が弟子をとることになった。
K君という二十二歳の若者。
家具作家のM君にもO君という弟子がいるが、
K君はそのO君の友人であるらしい。
倉敷の職業訓練校で訓練を積んだ仲間であるという。
昨夜はそのK君の歓迎会が開かれる。
K君に初めて会って驚いた。
身長が一メートル八十センチを超える若者なのだが、
坊主頭のせいか、
若者なんだか年寄りなんだか、よく分からない。
「こう見えても僕は二十二歳です」、
としきりに言っておったが、
どう贔屓目に見ても、四十を超えたオッサンにしか見えない・・・。
今日、M君のアトリエを訪れる。
中ではK君が椅子用の木材に穴開け加工を施していたが、
椅子の形状からして、開けてはいけない箇所に穴を開けているように見える・・・。
ま、N君の指示があっての作業なのだろう、と思っていたら、
「もっと考えて仕事せなあかんで!」
「こんなとこに穴開けたらあかんやないか!」、
とアトリエの中からN君の怒鳴り声が聞えてきた。
「やはりね!」、なのであるね。
一メートル八十センチを超える大男がN君の前で小さくなっている。
その謝る声もとても小さい。
その姿を見る限りでは、やはり二十二歳の若者である。
とても可笑しい。
ま、今日のような失敗を何度も繰り返しながら、
彼も一人前の職人に育っていくのだろう。