■ ネット難民
昨夜十二時頃、
アパートの扉を開けようとして、
その鍵を紛失していることに気付く。
部屋に入れなくなってしまった・・・。
近くには友人が経営する宿もあるにはあるが、
この時間に押し掛けては迷惑をかけてしまう。
息子のアパートに泊めてもらうことを思いつき、
息子の携帯に連絡を入れる。
しかし、何度かけても繋がらない・・・。
ガールフレンドとデートでもしているに違いない。
「この親不孝者め!」と毒づきながら、
とりあえず馴染みのカフェに向かう。
六甲山には十軒ほどの、
いわゆるラブ・ホテルが建ち並ぶ地域がある。
この中の一軒に泊まることも考えたが、
独りでラブ・ホテルにご宿泊、というのも何だか間抜けな話・・・。
カフェの親父に事情を話すと、
近くにインターネット・カフェがあるという。
二十四時間営業のカフェであるらしい。
車を駐車場に置き、カフェに入る。
なんて清潔なんだろうか・・・。
受付の可愛い女の子が「お好みのタイプは?」、と訊いてくる。
お好みの女性のタイプを訊いているのではなく、部屋のタイプの希望を尋ねているのであった。
ゴロリと寝転がれる部屋がある、という。
その部屋を指定する。
部屋には二枚の清潔な毛布が用意されていた。
テレビ見放題、ネット繋ぎ放題、飲み物飲み放題、で朝まで二千円という安さ。
鞄の中から、
「久米惣七」著による「人形師・天狗屋久吉芸談」
「Roger Nannini」のイラストによる「JOSEPHINE'S TOY SHOP」
「大修館書店」発行の「漢語林」、
その他を取り出し、これらを読んで一夜を明かすことにした。
狭いとはいえ、なかなか快適な空間ではある。
しかし、この歳になって「ネット難民」の真似事をする羽目になろうとは・・・。
そんなワケで、今朝はとても眠いのである。