■ POST CARD
四種類の販売用ポスト・カードを作ることになり、
「近日中にそのデザインを仕上げるように」、
と職員のYからきついお達しが下る。
スケッチ・ブックを探したが、
どうやらアパートに置いてきてしまったようである。
画用紙を買おうと近くの文具屋に出かけたら、
本日臨時休業の紙が扉に貼ってあった。
取りあえずは構図を決めるだけであるから、
その辺りに転がっていた
ダンボール箱をつぶして下絵を描くことにする。
ダンボール紙はその紙質が粗く、
インクを瞬く間に吸い込んでいってしまう。
どうせ下描きだからと一気呵成に描きあげたら、
インクの斑の濃淡の具合といい、
その発色の悪さといい、
自画自賛めくが、なかなかに味のあるイラストに仕上がる。
画用紙に描くのを取り止め、
仕上げにもダンボール紙を使うことにする。
「何かメッセージも入れたい」、と言うので、
豚にパンツを穿かせ、その下に「EAT ME」という文字を入れてやる。
「これは何ですか?」、と訊くから、
「艶っぽいやろ?」
「これはな、豚さんが『私を食べて』って言うてんねん」
「どや、意味深やろ!」、と答えたところ、
「何考えてるんですか?」
「阿呆ちゃいますか!」
「こんなん売れると思てるんですか!?」、
と即座に却下されてしまった・・・。
ジョークを理解しない女とは話が通じにくいものである。
仕方がないから、文字を「DELICIOUS」に変える。
「これならよろしい!」、ということであったが、
結構「DELICIOUS」も意味深だと思うけどなぁ・・・。