■ 二進も三進も

aquio2007-08-11

「館のこれからの方針を検討したい」
「学識経験者のご意見を伺いたい」、
という内容のファックスがQ館から届く。
Q館では、県の職員と市の職員、
そして財団の職員たち、約二十名ほどが働いている。
今から十二年前、
Q館にはT君という優秀な職員がいた。
Q館の基礎は彼が築き上げた、
といっても過言ではないだろう。
しかし、彼がいくら進言しても、
県や市の職員たちは決して現場に出ようとはせず、
エアコンの効いた部屋で書類にハンコを捺してばかりいた。
あれから十二年、
Q館の入場者数は下がり続け、
その運営はにっちもさっちも行かなくなってしまっている、と聞く。
「にっちもさっちも」、漢字では「二進も三進も」、と書くらしい。
「二進も三進も行かなくなったから、何とかしたい」、ということなのだが、
本気で運営を建て直したいと思うのなら、
やる気のない職員たちに出ていっていただくのが一番の早道。
で、「その運営再建会議に出て欲しい」、ということなのだが、
いくら会議を重ねたところで、
現場の意識が変わらないかぎり、運営再建は不可能だろう・・・。
また、神戸からQ館までの距離は往復五百キロもある。
ファックスには、「交通費は実費を支払う」
「謝礼として九千円(税引き後)を支払う」、とも書かれていたが、
一般私企業の感覚とは遠く離れた金銭感覚ではあるね。
女子高生のお小遣いのような金額ではないか・・・。
T県の規定による金額であるらしいが、
それはそっちの都合であり、私の都合ではない。
意義のあることであれば、手弁当ででも駆けつけるのだが、
その「支払ってやるから有り難く頂戴しろ」的書き方にも反感を覚える。
ま、今さら何をやったところでQ館の再建は不可能だろうなぁ・・・。
職員の就労意識、金銭感覚、来館者に対するサービス精神・・・。
すべてにおいて我々の感覚とズレている。
私は学識経験者ではないし、それに関わっている時間もない。
T君がいれば一肌脱ぐことも吝かではないのだが、
そのT君も九年前にQ館を去ってしまっている。
「スケジュールの調整ができない」、そのことを理由に断ることにした。
無駄なことに自分の時間を使いたくはない。