■ 進水式

aquio2007-08-23

子どもたちとゴム・スクリューの舟を作る。
船が進む原理を易しく教えながら、
いろいろな工具の使い方や絵筆の使い方、
コンパスの使い方や定規の使い方を教える。
しかし、あれだねぇ、
今の子どものほとんどが手を使うことを知らない。
ハンマーの使い方すら知らない。
口先は驚くほど器用であるが、
手先は驚くほどの不器用さ、である・・・。
「今日は私が子どもたちの一切の面倒をみます」
「お母様方は手も口も出さないでいただきたい」、
とそう言ったとたん、
母親たちはまるで親の仇でも見るかのような目つきで私を見た・・・。
「この船を夏休みの宿題として提出させたいんです」とか言っておったが、
そんなことは私の知ったこっちゃない。
「夏休みの宿題を金で買うんじゃないよ」、と言いたい。
なぜ夏休みに工作の宿題があるのか・・・。
その本質のところを理解していないから、そのような発言が出る。
私は子どもたちに、作る楽しみであるとか、
工夫する喜びであるとか、作り上げた時の達成感を味わってもらいたいため、
夏休みに工作教室を開いているのである。
「ここをこう工夫すると色は綺麗に仕上がるよ」、と教えると、
母親たちから、
「ほうら、ちゃんと先生の言うことを聞かなくっちゃ」、とかの野次が飛ぶ。
もう五月蝿いったらありゃしないのであるね。
「口を出すな!」って言ったばかりだろうが・・・。
口の中に消しゴム入れてやろうか、と思う。
子どもたちと一緒になって、私も私なりの船を一隻作ったが、
またもや母親たちから、「先生のと形が違うでしょう」、とかの野次が飛ぶ。
形が違って当然、色が違って当然、なのである。
サンプル通りに作ることを子どもに強いてどうする。
子どもにも好みの色や形があるのだよ。
三時間後、いろいろな色と形の船が出来上がる。
子どもたちは思い通りの船が作れて、至極ご満悦の様子であった。
それでいいのである・・・。
子どもたちの笑顔を見ることができれば、私もご満悦なのであるね。
私の船の名前は「AQUIO・60歳号」。
今夜はアパートの浴槽に浮かべて遊ぶつもり。