■ さもはら

aquio2007-09-19

私の家に「DEMIO SPORT」が届いたのは、
今月の九日だったように記憶している。
それから十日ほどしか経っていないというのに、
走行距離は一千キロを超えてしまった。
相変わらず移動の多い毎日を送っている。
母が「さ・も・は・ら」と書いた紙を何枚かくれる。
車の前後左右に貼っておけ、というのである。
四文字とも「手偏」の文字なのであるが、
どの辞書を調べても、
「さ・も・は・ら」という文字は見当たらない。
また、この四文字が漢字であるとも思えない。
また、どうしてこの文字を「さ・も・は・ら」と読むのか、
そのあたりのことも分からない・・・。
妙ちきりんな文字である。
昔、ある殿様が鷹狩りに出かけた時、
鷹に向かっていくら矢を放っても、
少しも矢が中らなかったことがあった、という。
で、その鷹をなんとか生け捕りにしたところ、
その鷹の翼に「さ・も・は・ら」という文字が見て取れた、という。
以後、「さ・も・は・ら」の文字は金物を避ける呪文として使われており、
どこだか知らないが、「さもはら神社」という神社もあるそうである。
その書籍の名前は忘れてしまったが、
数年前、ある文献を読んでいて知った「さ・も・は・ら」の縁起。
太平洋戦争の時代、父が一兵卒として戦地に赴いた時も、
「さ・も・は・ら」と書かれた護符を母に持たされた、という。
子どもの頃、父に聞いた話によると、
「敵の鉄砲の弾がわしを避けて飛んでくるように思えた」、ということであったが、
父は法螺吹きであったから、この話は信用できない・・・。
しかし、この「さ・も・は・ら」の四文字は、
護りの呪文として我が家で代々使い続けられてきたようである。
「『さ・も・は・ら』って書いた紙貼っときや」
「『さ・も・は・ら』は金属を避けるおまじないやさかい」、と母がきつく言うので、
DEMIO SPORT」の前後左右、目立たない場所に貼っておいた。
ま、貼っておけば母は安心する。
「そんな阿呆なこと・・・」、とは思うのだが、
その「安心」が護符の護符たる所以なのだろう・・・。