■ Tさん

aquio2007-09-23

午前八時半、神戸の街に向かって出発。
九時半、「ヒリック」さんと通訳のTさんをお乗せし、
神戸の職場に向かう。
午前十一時半、
「ヒリック」さんと通訳のTさんをお乗せし、
新幹線の新神戸駅までお送りする。
午後六時、岡山の自宅に向けて出発。
今夜はTさんとCさん一家が泊まりに来る。
Tさんとのお付き合いは三十年ほどになるが、
ここ十年ほどの間、お互いの音信が途絶えていた。
先日、双方の友人であるCさんから連絡があった。
「Tさんの身体が癌に犯されている」、というのだ。
「ご飯が食べられない」「お酒が飲めない」
「声も出ない」、状態にあるという・・・。
ひょっとしたら、
三人が顔を合わせるのも、今夜が最後になるかもしれない。
午後八時、我が家に到着。
思いの外、Tさんは元気そうであったが、
あれほど頑丈であったTさんの身体は、
まるで針のように痩せ細っていた・・・。
Tさんは声が出せない。
Tさんの言いたいことは筆談に頼るしかなかったが、
夜が更けるまで昔話に花が咲く。
奥さんに言わせると、
「今夜はとても体調がいいみたい」、ということであったが、
日々、その体調には大きな波があるらしい・・・。
七年前の七月七日、七夕の夜、
私の親友であったHが癌で死んでいった。
六年前の五月五日、子どもの日、
もう一人の親友であったKが、やはり癌で死んでいった。
歳をとると、人との別れが骨身に応える。
「ヒリック」さんから聞いた話によると、
二〇一〇年には、スイスの某製薬会社から画期的な癌の新薬が発売されるらしい。
その薬が万人に効くかどうかは分からないが、
それまで、なんとかTさんには生きていていただきたい・・・。
一縷の望みではあるが、心から、そう思う。