■ ブローカー

aquio2007-09-29

九月二十五日の日記に、
山梨にお住まいの武珍さんからコメントが寄せられる。
その寄せられたコメントで思い出した出来事。
数年前、からくり人形の制作依頼がP社からあった。
F市の仕事であったが、
今もそのからくり人形は元気に働いてくれている。
過日、そのF市のTさんと酒を飲む機会があった。
仕事を通じて気安い仲になったのだが、
その酒の席上、
「あの仕事はいくらで請け負った?」、
といきなりTさんが訊いてきた。
「商道徳っていうのがあるからね」
「その金額を君に明かすワケにはいかない」、と答えると、
「F市はあの仕事に八百万円を計上した」、と言う。
金額をあからさまに言ってしまうTさんもどうかと思ったが、
Tさんは相当に酔っ払っていたから、
ま、時効、ということにしておこう・・・。
しかし、その金額を聞いて驚いてしまった・・・。
私が請け負った金額は、その半分もなかったのだ。
大阪のU社がその仕事の元請けであり、
P社はその下請けであった。
まず、U社が請け負った金額から三割の利益を取り、
P社が残った中から三割の利益を取った、と計算すると、
ちょうど、私が請け負った金額と合致する・・・。
では、この仕事についてU社とP社は何をしたか、というと、
ほとんど何もしていない・・・。
「文句があるなら自分で仕事を取ればいいじゃないか」
「俺達は君に代わって営業をし、君に仕事をあげたのだから」
それがP社とU社の言い分であることは百も承知だが、
それでは企業人としての哲学が無さ過ぎるような気がする。
「まずは仕事」ではなく、「まずは利益」なのであるね。
ほとんど何もしないのであるから、その利益率はとても高い・・・。
仕事が上手くいけば、その手柄はU社のものであり、
仕事が失敗すれば、その責務は私が負うことになる。
ま、そんなことは百も承知で仕事に臨んでいるのだし、
受けた仕事について、後でとやかく言うのも男らしくないとは思うが、
予算が少なかったため、
やろうとして出来なかったことが山ほどあった・・・。
結局のところ、
不利を受けたというか、割を食ったのはF市であり、
F市が支払った制作代金は税金で賄われているのである・・・。
「税金を払う人間と税金で飯を食う人間、そして税金を食い物にする人間」
「世間にはその三種類の人間しかいない」、
とそう言ったのは、あの「立花隆」だった。
「まずは自分の利益」
他人の利益など一々気にしていたのでは、会社は大きくならないし、飯も食えないのだろう。
ブローカーが幅を利かせる実に嫌な時代ではあるな・・・。