■ 琵琶湖ビエンナーレ・その2
近江八幡に出かけ、
「旧・伴家住宅」において、ワークショップを開く。
ワークショップのタイトルは、
「針金で空間に絵を描こう」。
様々な細さの針金を用意し、
ペンチや指を使って様々な形を作ろう、という試み。
午前中のワークショップに集まってくださったのは、
ほとんどが四十から五十代の女性だった。
まずは、
横に座っている人の顔を相互に作ることから始める。
「ペンチを持つのは初めてだから」とか、
「私は不器用だから」とか、
皆さんしきりに謙遜されていらっしゃったが、
どうしてどうして、
ナイーブ・アート顔負けの作品が次々と生まれる。
実に素晴らしい・・・。
「素敵な作品に仕上がりましたね」、と素直な感想を述べると、
「そりゃぁ、モデルがいいからよ」、と横の女性が口をはさむ。
「お友達の顔はこんなにきつい顔ですか?」、と訊ねると、
「私は針金でこの人の本性を抉っているのよ」、とかの返事が返ってくる。
皆さん辛辣ではあるが、和気藹々としていて、実に楽しい。
アッと言う間に二時間が過ぎていってしまう。
何事にも、何者にも物怖じしない、
その女性たちのパワーに圧倒された二時間であった。
午後のワークショップに集まってくれたのは、ほとんどが子どもたちであったが、
どういうワケか、全員に元気がない・・・。
「どうして作っていいか分かんない」、とすぐにペンチを投げ出してしまう。
この集中力の無さはいったい何なんだろう・・・。
「何でもいいから、頭の中に浮かんだモノを作ってみよう」、と指導すると、
「な〜んも浮かばんもんね」、とひねくれた答が返ってくる。
脱力感を覚える・・・。
「家でどんなことをして遊んでるの?」、と訊くと、
「テレビゲーム」、という答が返ってくる・・・。
この歳にして、すでに能動的に遊ぶことができなくなってしまっている子どもたちだった。
一時間もしないうち、退屈しきった子どもたちはゾロゾロと帰っていった。
遊ぶことにさえ退屈している子どもたち・・・。
部屋にポツリと残された初老の男性と針金細工を作って遊ぶ。
四方山話に花が咲く。
針金をグチャグチャといじくっているうち、
なんとなく憂いを含んだ女の顔が出来上がった。
乳房を作って作品を完成させる。
作品のタイトルは「哀しみの女」。